トークン移行先の変化が市場構造に波紋
ミームコイン作成プラットフォーム「Pump.fun(パンプファン)」は21日、分散型取引所(DEX)「PumpSwap(パンプスワップ)」のローンチを発表した。これにより、Pump.funでボンディングカーブ(需給に基づいてトークン価格を計算する数学モデル)を達成したミームコインは、今後直接パンプスワップへ移行されることとなる。
パンプスワップは、Raydium(レイディウム)やUniswap(ユニスワップ)などが用いるConstant Product AMM(定積自動マーケットメーカー)を採用しており、これらプラットフォームと同等の機能提供を実現している。Constant Product AMMは量の積を一定に保つことで、価格を自動調整する仕組みだ。パンプスワップではミームコインやその他トークンのスワップに加え、流動性プールの無料作成や既存の流動性へのプール追加などを可能にしている。
Pump.funはDEX構築の目的として、「コイン取引のための最も摩擦のない環境を作るため」と語った。これまで同プラットフォームでは、時価総額が69,000ドルを達成したミームコインがレイディウムに上場していた。だが、ユーザーは上場にあたって6 SOLの手数料を支払う必要があった。Pump.funはこの手数料負担やトークン移行の複雑さが、トークンの勢いを削ぐ要因となっている点を指摘している。
今回のパンプスワップの登場により、作成したトークンは手数料無料かつ即座に同プラットフォームへ移行できる仕組みが整備された。これにより、トークン作成者のコスト負担軽減や従来よりもスムーズな取引が可能になる見込みだ。
また、パンプスワップの取引手数料は0.25%に設定されており、そのうち0.2%は流動性提供者、残りの0.05%はプロトコルに割り当てられる予定だ。なお、パンプスワップは今後、クリエイター収益配分の導入を計画している。この導入に伴い、手数料配分の見直しも予定されている。
協力関係にあったRaydiumの動向は?
レイディウムのスワップ手数料収入のうち、過去30日間において約4割はPump.fun由来のミームコインが占めており、互いに持ちつ持たれつの関係となっていた。だが、今回のパンプスワップのローンチは、これまでの両者の協力関係を大きく揺るがすものとなった。
レイディウムは18日、トークン発行プラットフォーム「LaunchLab(ローンチラボ)」の開発に着手したことが報じられた。これは2月24日に、Pump.funが独自のAMMを立ち上げると報じられたことを受けたものと思われる。レイディウムもPump.funに依存しない独自のビジネスモデルを模索している状況だ。
パンプスワップのローンチ発表により、レイディウムの独自トークン「RAY」は市場で大きく反応。執筆時点で、1.877ドルから1.601ドルへ下落し、約14.7%の下落を記録した。その後、1.60ドル付近で一旦下落が抑えられ、1.720ドルまでの上昇に転じている状況だ。

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