ポール・アトキンス氏、米SEC新委員長に就任──仮想通貨規制緩和への期待高まる

伊藤 将史
9 Min Read
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

トランプ大統領が指名、「資本形成促進」「投資家保護」など使命遂行へ意欲

米証券取引委員会(SEC)は21日、ポール・アトキンス(Paul S. Atkins)氏が第34代SEC委員長として宣誓し、正式に就任したことを発表した。同氏はドナルド・トランプ大統領によって2025年1月20日に指名され、4月9日に米上院によって承認されていた。暗号資産(仮想通貨)業界からは、新体制下での規制緩和やETF(上場投資信託)承認プロセス進展への期待が高まっている。

アトキンス委員長は就任にあたり、「トランプ大統領と上院が私にSECを率いる信頼と信任を寄せてくれたことを光栄に思う」と述べ、「資本形成の促進、公正で秩序ある効率的な市場の維持、そして投資家保護という委員会の使命を推進していく」と抱負を語った。

アトキンス氏の経歴

アトキンス氏は過去にもジョージ・W・ブッシュ政権下の2002年から2008年までSEC委員を務め、その間、透明性や費用便益分析の活用を重視する姿勢を示していたとされる。

退任後は、自身が設立した金融コンサルティング会社「Patomak Global Partners(パトマック・グローバル・パートナーズ)」のCEOに就任。同社は、デジタル資産分野におけるベストプラクティスの策定に向けた取り組みを主導する支援を行っていた。

ゲンスラー前体制からの方針転換への期待

アトキンス氏の委員長就任は、前任のゲイリー・ゲンスラー氏の時代からの大きな転換点となる可能性がある。

1月20日にゲンスラー氏が退任した後、アトキンス氏の就任まではマーク・ウエダ氏が委員長代行を務めていた。この期間、SECは仮想通貨関連企業に対する控訴の取り下げ、ヘスター・パース委員が主導する「仮想通貨タスクフォース」の設立など、業界に対してより建設的なアプローチをとっている。トランプ政権下では、司法省が仮想通貨専門の「国家仮想通貨執行チーム(NCET)」を解体するなど、規制緩和の方向性が示されており、アトキンス氏の就任はこの流れを加速させる可能性がある。

このようなトランプ政権下で、大統領が指名したアトキンス氏の就任は、仮想通貨業界にとってさらなる”追い風”になるとの期待の声が上がっている。特に、執筆時点で70件以上が申請されている、仮想通貨ETFの審査プロセスが進展することを期待する声は多い。

米国における仮想通貨ETFの承認は、機関投資家の流入や金融資産としての価値向上につながる重要なトピックであるとみられている。まずは仮想通貨ETFの申請をどう扱うのか、アトキンス氏の姿勢を鮮明にするものとして、注目したいところだ。

関連:ポール・アトキンス氏、SEC新議長に就任──規制緩和と仮想通貨に追い風の兆し
関連:米司法省、仮想通貨捜査部門「NCET」解体──起訴対象は悪用した個人に限定

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA