米通貨監督庁(OCC)は21日(米国時間)、米国のステーブルコイン法「GENIUS法」を実施する最終規則を発表した。OCCの管轄下にある国内と外国の発行者、OCCが監督する機関の一部の保管業務が対象だ。規則によると、GENIUS法を実施する最終規則を、発行者を監督する連邦当局が出すのは今回が初めてとなる。最終規則とGENIUS法は、2027年1月18日に施行される。
OCC、利回り禁止で関連会社・第三者経由の推定規定を削除
GENIUS法は、ステーブルコインの保有、利用、保持だけを理由に、発行者が保有者へ利息や利回りを払うことを禁じている。
OCCが2月25日に公表した規則案(3月2日に米官報に掲載)は、関連会社や特定の第三者を通じた支払いも、一定の条件を満たせば違反と推定し、発行者が書面で反証できる仕組みを盛り込んでいた。
最終規則は、この推定規定を削除した。OCCは、推定が広すぎたり狭すぎたりするおそれがあるとし、市場が生まれたばかりの今は推定を置くのは適当でないと説明している。
一方でOCCは、関連会社や第三者が自ら資金を出して払うリワード(報酬)など、意見で求められたものも含め、禁止の対象から外す一般的な例外は設けなかった。保有などだけを理由としない支払いは、もともと禁止の対象外だとしている。発行者の代わりに代理人が、保有などだけを理由に払う利回りは、禁止の対象になる。
禁止される仕組みと許される仕組みの一覧は示さず、個々の事実関係に沿って判断する。少額の支払いを禁止の対象から外す例外も置かなかった。GENIUS法の成立前からあるリワードの仕組みも、成立後にできたものと同じように評価する。
規制逃れを取り締まる権限は残る。OCCは当面、申請の審査と継続的な監督で個別の仕組みを確かめ、違反や規制逃れを見つければ措置を取り、必要に応じて追加の指針を公表する。経験を積めば、禁止の中身をはっきりさせる規則案を出せるとの見通しも示した。
米連邦準備制度理事会(FRB)が9月24日(米国時間)に公表した、FRBが監督する発行者向けの利回り禁止を含む規則案にも、同様の推定規定が盛り込まれている。FRBの規則案は意見募集の段階で(締め切りは11月30日)、最終的な扱いは決まっていない。
OCC、準備資産の数値基準を緩和──償還の自動延長も削除
準備資産は、現金や連邦準備銀行への預け金、要求払い預金、残存期間93日以内の米国債、国債を使った翌日物のレポ取引の一部、これらの資産だけで運用する登録済みのマネー・マーケット・ファンドなど、流動性の高い資産に限られる。準備資産の価値は、どの時点でも発行残高を下回ってはならない。
最終規則は、規則案に比べて流動性や分散の数値基準を大幅に緩めた。要求払い預金などで持つ割合の下限は、規則案の10%から5%に下げ、週ごとの流動性などの基準はなくなった。
規則案にあった40%の上限は、1つの金融機関に置く準備資産の上限から、1つの取引相手に対するエクスポージャー(その相手が破綻した場合などに影響を受ける資産の額)を準備資産の40%以内とする形に改めている。
米国政府に対するエクスポージャー、一定の条件を満たす保管機関に保管していることによるもの、中央清算されるレポ取引とリバースレポ取引によるものは、40%の上限の対象外だ。
数値基準を緩める代わりに、ストレス時にも準備資産が発行残高を下回らないことを確かめるストレステストと、必要に応じて発行残高を上回る準備(バッファー)を持つ義務を新たに設けた。規則案にもあった、準備資産を現金化できる能力を示す義務は、平時とストレス時の両方が対象になると条文に明記している。
2営業日以内という償還期限の長さは、規則案と同じだ。最終規則は、期限をいつから数え、いつ償還したとみなすかの定義も新たに置いた。
規則案は、24時間の請求が発行残高の10%を超えると期限が自動で暦日7日に延びる仕組みを入れていたが、取り付けを招いたり悪化させたりするおそれがあるとして、OCCはこれを削除している。
規則案にもあった24時間以内のOCCへの通知義務は残し、基準を銘柄ごとに改めた。いずれかの銘柄で、24時間の請求がその発行残高の10%を超えた場合が対象だ。
そのうえで、この基準を超えた発行者が、OCCに償還期限の延長を申請できるようにした。認めるかどうかはOCCの判断により、OCCは延長はまれになるとの見方だ。
資本では、最低500万ドル(約7.9億円)の基準を、OCCの承認から原則3年以内の発行者だけでなく、すべての発行者に広げた。
OCC、申請の受付開始は未定──マネーロンダリング対策は別の規則で
OCCが監督する発行者には、国法銀行(OCCが免許を出す銀行)などの子会社のほか、銀行以外の会社も含まれる。国法銀行などが子会社を通じて発行する場合も、銀行以外の会社などが連邦の認可を受けた発行者として発行する場合も、事前にOCCに申請して承認を受ける必要がある。
OCCは、発行者になるための申請と免除の申請を、いつ受け付け始めるかは別に発表するとした。
申請者(銀行の子会社の場合は親銀行など)は、2027年1月18日までに実質的に完全な申請(OCCが判断できる情報がそろった申請)が審査中であれば、GENIUS法または規則の要件の免除を書面で求められる。OCCは、公益にかなうか特別な事情がある場合に、同日から最長12か月の免除を認めることができる。
マネーロンダリング対策と制裁に関する規定は、今回の規則に含まれない。この分野のOCCの規則案は6月24日に米官報に掲載されており、財務省と調整して別の規則で定める。
規則案には約328件の意見が寄せられた。ジョナサン・グールド通貨監督官は、準備資産による裏付け、償還、リスク管理について強い基準を備えた、ステーブルコインのイノベーションに向けた明確で実務的な枠組みを示すと述べた。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.95円)
