ステーブルコイン決済の基盤を提供する米Rain(レイン)は米国時間5日、米通貨監督庁(OCC)に国法信託銀行「Rain National Trust Bank」の設立を申請したと発表した。承認されれば、暗号資産(仮想通貨)と米ドルの保管、ステーブルコイン発行体の準備資産の管理、米ドル連動ステーブルコインの発行・償還を、OCCの監督のもとで機関顧客向けに行う。
レインの国法信託銀行、ステーブルコインの発行体を担う計画
同社によると、新銀行はニューヨークに本店を置き、レインとは別に資本を持つ子会社となる。業務は次の3つである。
- 保管:承認されたデジタル資産と法定通貨を受託者として保管し、銀行自身の資産と分けて管理する
- 準備資産の管理:米国のステーブルコイン法(GENIUS法)で認められた発行体のために、準備資産を保有・管理する
- 発行と償還:GENIUS法に基づき、自らが発行体となって米ドル連動のステーブルコインを発行・償還する
預金の受け入れ、商業融資、一般消費者向けの口座は扱わない。預金保険の対象外で、発行するステーブルコインの準備資産は、担保に入れたり、貸し出したり、再利用したりしないとしている。
レインのパートナー企業は、ステーブルコインのカードやウォレット、送金のサービスを数百万人の利用者に提供している。同社によると、その裏側の資産は現在、州のライセンスや外部の保管業者、外部のステーブルコイン発行体に分かれている。
ファルーク・マリクCEOは、レインの基盤を使う企業は、自社サービスの資産を連邦の規制当局の監督を受ける受託者に預けたいと考えていると述べた。新銀行の社長兼CEO候補には、ブロック傘下の銀行スクエア・フィナンシャル・サービシズで最高財務責任者(CFO)を務めたブランドン・ソト氏を充てる。
申請はOCCの審査と承認が必要で、意見公募の期間もある。同社は、新銀行の設立を複数年にわたる取り組みとしている。
国法信託銀行の免許、レインの発表はICBAの提訴から3日後
レインの発表の3日前、米国の地域銀行の業界団体である米独立コミュニティー銀行協会(ICBA)は2日、OCCを相手取り、ワシントンD.C.の連邦地方裁判所に提訴していた。暗号資産企業などに信託銀行の免許を認めるOCCの規則は、国法銀行法の権限を超えているとして、取り消しを求めている。
訴状によると、第2次トランプ政権のもとでOCCが承認または条件付き承認した信託銀行は21行で、そのうち少なくとも13行が暗号資産企業である。
OCCは2025年12月、サークル、リップル、BitGo、フィデリティ・デジタル・アセッツ、パクソスの計5件を一度に条件付き承認した。サークルは7月に最終承認を得ている。
日本企業も、この免許の取得を進めている。ソニー銀行は7月7日、米国の信託子会社の設立について、OCCから条件付き承認を得たと発表した。
親会社のソニーフィナンシャルグループの臨時報告書によると、子会社の名称は「Connectia Trust, National Association」で、資本金は4,000万ドル(約63億円)。
ソニー銀行は、米ドル建てステーブルコインの発行・管理などの事業に向けて、日米当局の許認可を前提に2027年の開業を目指している。
関連:米OCCを地域銀行団体が提訴──仮想通貨企業13行超の免許承認めぐり
関連:USDCのサークル、米国で信託銀行の設立承認──規制準拠でテザーとの差を広げる
関連:レボリュート、米銀行免許で条件付き承認──暗号資産を扱うフルバンクへ
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.95円)
