米銀大手JPモルガン・チェースの資産運用部門JPモルガン・アセット・マネジメントは10月に公表した長期の資産見通し(Long-Term Capital Market Assumptions、LTCMA)の2027年版で、初めてビットコイン
BTCの10年リターンの範囲を示した。ただし、ほかの資産との相関が不安定なため、現時点ではビットコインを分散効果のある資産とはみなさないとしている。
JPモルガンAM、ビットコインは投機的な資産と位置づけ
LTCMAは、200を超える資産について今後10〜15年のリターンや変動の見通しを示す年1回の報告書で、今回が31回目になる。表紙には、機関投資家など専門家向けで、個人向けの利用や配布はできないと明記する。
ビットコインの節は、債券・為替・商品部門のポートフォリオ・マネジャー、シーナ・シャー氏と、プライベートバンクでデジタル資産戦略を率いるデニス・クリスタロ氏が執筆した。2人はビットコインを、投機的な資産で、金融緩和への備えになるものと位置づけた。
報告書によると、暗号資産(仮想通貨)の市場規模は2.5兆ドル(約396兆円)を超え、マネー・マーケット・ファンドなどのトークン化資産は約400億ドル(約6.3兆円)にのぼる。
ビットコインは主に、世界のマネーサプライの伸びに連動する、市場への感応度が高いリスク資産のように値動きするという。現金の流れを生まず、技術だけでなく普及や規制、流動性でも経済性が左右されうるため、予測は難しいとも指摘した。
そのうえで、10年の予測を作ったり、主要な資産どうしの相関や変動の計算表に入れたりするのは時期尚早だとした。とりうる範囲を調べることには意味があるとして、弱気・基本・強気の3つのケースを示している。
ビットコインの10年リターンの想定、3つの考え方を65:30:5で合わせる
報告書によると、10年の年率リターンの想定は、全体で弱気ケース-11.2%、基本ケース10.0%、強気ケース16.6%とされた。基準にしたビットコインの価格は、9月30日時点の8.3万ドル(約1,313万円、円換算は執筆時点のレート)だ。
全体の数字は、3つの考え方の結果を、執筆者の確信の度合いに応じて65%、30%、5%の重みで合わせたものだという。
| 考え方(10年の年率リターンの想定) | 重み | 弱気ケース | 基本ケース | 強気ケース |
|---|---|---|---|---|
| ビットコインの供給の伸び(4年周期)と、米ドル・世界のマネーサプライの比較 | 65% | -9.7% | 10.7% | 17.0% |
| ポートフォリオで金を補う資産として | 30% | -13.3% | 10.7% | 17.3% |
| ビットコインのネットワークの利用の広がり | 5% | -19.1% | -3.2% | 6.1% |
| 全体 | - | -11.2% | 10.0% | 16.6% |
金を補う考え方は、基本ケースで投資家が資金の一部をビットコインへ移し、強気ケースで中央銀行の準備資産に組み入れられると想定している。
ネットワークの利用の考え方は、ほかのブロックチェーン上のトークン化資産の伸びから恩恵をあまり受けないと仮定する。この考え方の基本ケースは-3.2%だ。
主要な資産どうしの計算表とは別に、一部の主要資産と並べた参考用の小さな表では、過去のデータに基づくビットコインの年率の変動率を55.0%としている。過去の相関は、金と0.10、米国の大型株と0.33だった。
2人は、相関が安定して変動が小さくなれば、ポートフォリオでのビットコインの有用性が将来高まる可能性があるとした。規制の明確化や、市場の厚み・流動性の改善も後押しになるという。
現時点では、ビットコインを組み入れる場合は慎重に精査し、弱気と強気の両方のケースを想定して十分に検証すべきだとしている。
※本記事はJPモルガン・アセット・マネジメントの公表内容を伝えるもので、JinaCoinの見方や投資の勧めではありません。
※金額は執筆時点のレートで換算(1ドル=158.22円)
