トランプ政権、仮想通貨への規制緩和をさらに加速
米司法省は7日(現地時間)、暗号資産(仮想通貨)関連の調査を専門とする同省の「国家仮想通貨執行チーム(NCET)」を解体した。複数の米メディアが、トッド・ブランシュ司法副長官のメモによってこの決定が伝えられたと報じている。
ブランシュ氏は2024年の刑事裁判でドナルド・トランプ大統領の弁護人を務め、現在は司法省で2番目の地位にある。「司法省はデジタル資産の規制当局ではない。しかし、前政権は司法省を利用して、起訴による無謀な規制戦略を追求した」と解散の理由を説明している。
2021年に設立されたNCETは、「Binance(バイナンス)」の創設者CZ(チャンポン・ジャオ)氏に対する捜査に関与するなど、重要な仮想通貨関連の事件に関わってきたとされる。
ブランシュ氏はメモの中で、仮想通貨取引所やTornado Cash(トルネードキャッシュ)のようなミキシングサービス、オフラインウォレットといった技術的サービスを訴追の対象とするのではなく、仮想通貨を詐欺や資金洗浄、違法行為に意図的に悪用した個人を優先して起訴するよう指示した。また、仮想通貨ユーザーや取引所が規則を知りながら故意に違反したことが証明されない限り、無許可の送金や未登録の証券提供といった金融法違反については起訴しない方針を示している。
NCETの解散は、仮想通貨業界に対して好意的な姿勢をとるトランプ政権下で、さらに規制緩和を推し進めるものとみられる。仮想通貨関連の事業者やサービスに対する規制の手を緩め、米司法省の捜査対象を詐欺師や悪質なハッカー、犯罪組織などに限定するものだからだ。実質的に仮想通貨業界への規制を強化する効果を持っていたNCETによる捜査や訴訟、執行措置は今後行われず、その責任は刑事司法制度の外で活動する金融規制当局に委ねられることになる。
これは、仮想通貨関連の事業者やプロトコルが、米国において事業を展開する上でのリスクを軽減するものといえるだろう。今回の措置はただちに仮想通貨市場を盛り上げるものではないが、規制緩和によって米国が「仮想通貨の中心」になるための第一歩になるかもしれない。
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2025/4/9 12:39 今後の起訴対象について修正しました。
2025/4/9 13:40 NCET設立年について修正しました。