Mt.Goxの弁済は、どれくらい市場に影響を与えるのか?

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目次

仮に全量が1日で売却されても、市場は対応可能。「差し迫った懸念」という考えが下落を引き起こしている可能性

大手資産運用会社「Coinshares(コインシェアーズ)」のリサーチ部門は2日、「Mt.Gox(マウントゴックス)への懸念は過剰であり、実際の市場への影響は小さい可能性が高い」という見解を示すレポートを公開した。

マウントゴックス売却による価格への影響の推定

2014年に破産した暗号資産(仮想通貨)取引所「マウントゴックス」が債権者への現物弁済を7月始めから開始すると発表したことは、ドイツ政府が押収したビットコインの移動を開始したというニュースと併せて、ビットコイン市場に重くのしかかっている。

たしかに、マウントゴックは約14.2万BTC(約1.4兆円)であり、それが売却されたらひとたまりもないと考えるのが普通だろう。

ビットコイン価格は過去24時間で4.5%、過去14日間で10%以上下落し、記事執筆時点においてもまだ下落し続けている。
出典:CoinMarketCap

しかし、コインシェアーズのレポートによると、マウントゴックスによる弁済が予想ほど過酷ではないことを示唆するデータはある。

第一に、債権者は2023年3月10日までに、負債額の約90%(現物)を早期一括払い(7月に支払う)するかどうかを決定する必要があった。債権者の約75%がこの取引を受け入れたと推定され、これにより弁済されるビットコインは約9.5万BTCまで減少した。

さらに、この内約2万BTCは、「Mt.Gox Investment Funds(MGIF)」に対するものであるとわかっており、MGIFは既に保有しているビットコインを売却する予定はないと公言しているため、さらに約7.5万BTCにまで減少する。この数字が実際に弁済により市場に出回るビットコインの量だとコインシェアーズは推定している。

約7.5万BTCにまでのうち、約6.5万BTCは個人債権者に対するものであるが、ビットコインが当時の価格から13,600%上昇しており、すぐに売却すれば法外な税金がかかるため、多くの債権者は一部のみ売却するか、当面の間保有することを選択する可能性が非常に高い。

流動性の面から見ても、約7.5万BTC(約43億ドル=約7,000億円)は大した量ではない。コインシェアーズがいくつかのシナリオに分け、単純なシグマ・ルート・リクイディティ・モデルを使って潜在的な価格インパクトを見積もってみたところ、最悪のシナリオでは28億米ドルが売却される可能性がある。

シグマ・ルート・リクイディティ・モデルを使った潜在的な価格インパクト
出典:Coinshares

最悪のケース(Aggressive)では、価格が19%下落する可能性があると推定されるが、これは1日に約7.5万BTCすべてが売却された場合であり、実際の弁済は月を通して異なる日に、複数の異なる取引所に行われるため、潜在的な売却の影響が緩和される可能性が高い。今年の米金利引き下げの可能性と合わせて考えると、相殺される可能性すらある。

以上のことから、マウントゴックスの実際の売り圧よりも、「差し迫った懸念」という考えが下落を引き起こしているようだ、とコインシェアーズは結論付けた。

関連:Mt.Gox7月始めから現物弁済開始|ついに動き出す巨額のビットコイン
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参考文献

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この記事を書いた人

元一般企業会社員。現在はトレーダー兼ライター。
株式やFX、仮想通貨デリバティブ、草コイン、ノード運用と色々やっています。

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