NFTから暗号資産取引へ マジックエデンの事業拡張戦略
NFTマーケットプレイス大手「Magic Eden(マジックエデン)」は10日、モバイルアプリで800万以上の暗号資産(仮想通貨)を取引(交換)できるDEXアグリゲーター「Slingshot(スリングショット)」の買収を発表した。なお、買収金額は公表されていない。
マジックエデンは、2021年9月にローンチしたNFTマーケットプレイス。ソラナ(Solana)チェーンベースのNFTマーケットプレイスとして誕生したが、イーサリアム(Ethereum)やポリゴン(Polygon)、ビットコイン版NFTのOrdinal(オーディナル)など、現在は12のチェーンに対応している。
本発表についてマジックエデンは、「あらゆるチェーン上のあらゆる資産をすべての人に提供するという我々のビジョンを加速させるもの」とリリース文で説明している。
発表に先立ち、4月4日にはクロスチェーンの仮想通貨スワップ機能をリリース。NFTマーケットプレイスとしてスタートしたマジックエデンだが、すでにDEX(分散型取引所)としての機能提供も開始していた。
クロスチェーンスワップの導入と今回の買収との直接的な関連は明かされていないものの、マジックエデンはNFT取引の枠を超え、暗号資産全体を取り扱う総合プラットフォームへの進化を目指していると見られる。
マジックエデンのCEO兼共同創業者であるジャック・ルー(Jack Lu)氏は、「革新的なプロダクトを生み出すスリングショットのチームと、マジックエデンが持つ業界最高のマーケティングおよびスケーリング能力を融合させることで、暗号資産の未来にインパクトを与えられると確信しています」とコメントしている。
現時点では、スリングショットとマジックエデンはそれぞれ独立してサービスを提供しており、今後も「スリングショットをマジックエデンに完全統合する予定はない」としている。
なお、NFTマーケットプレイスとDEXの両機能を兼ね備え、いずれも成功を収めた前例はまだ存在しない。たとえば、Uniswap(ユニスワップ)はNFTの取引機能を実装しているが、既存のNFTマーケットプレイスに匹敵する成果は出せていないのが現状だ。
しかし、一つのサービス内でNFTも仮想通貨も取引できるようになれば、利便性が大きく向上することは間違いないだろう。今回の買収を経て今後マジックエデンがどのようなアップデートを行うのか、そしてマジックエデンの動きに追従するNFTマーケットプレイスやDEXが現れるのか、注目したいところだ。
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