グレイスケール、Sui投資信託を機関投資家向けに提供開始

中井 純
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機関投資家がSuiトークンへの投資機会を得る一方、開発者活動は低迷

世界最大級の資産運用会社「Grayscale Investments(グレイスケール・インベストメンツ)」は、8月に設立したSuiへの投資商品「グレイスケールSui投資信託」を認定投資家向けに提供開始した。同社は20日、「スケーラビリティとトランザクションコストの課題解決を目指すSuiトークンへの投資機会を提供する」と公式Xで発表した。

引用元:https://x.com/Grayscale/status/1869773955583869242

従来、機関投資家は、暗号資産(仮想通貨)の購入や保管、セキュリティ管理といった複雑なプロセスを敬遠する傾向があった。しかし、Sui投資信託では既存の証券取引システムを利用することで、Suiへの間接的な投資が容易になる。

この信託は、2024年12月18日時点で1,288万ドル(約20.2億円)の資産を管理し、1株あたり65.52ドル(約1万287円)の純資産価値(NAV)を持つ。信託の株価は、手数料と費用を差し引いたSui価格を反映する仕組みで、投資家はSuiを直接購入・保管する手間を省きつつ、Suiの価格変動の恩恵を受けることができる。

Suiは、スケーラビリティと取引コストの効率化に焦点を当てた第三世代ブロックチェーンで、年初から500%以上価格が上昇し、DeFiエコシステムのTVL(総ロック額)で9番目に大きいブロックチェーンとなった。しかし、仮想通貨ニュースサイト「コインゲープ」によるとSuiのDeFiにおけるTVLは、9月に7億3,000万Suiを記録したが、現在は3億8,500万Suiまで減少している。一方で、ドル建てのTVLはSui価格の上昇により増加傾向を維持している。

Suiネットワークの開発者活動は減少傾向にある。開発者のコミット(プログラムコードの更新)活動は2023年5月の5,300件から2024年12月には950件に減少。また、アクティブなコア開発者の数も86人から44人に半減した。開発者活動の減少は、エコシステムの成長を鈍化させるリスク要因だ。

Suiは高速かつ低コストな取引処理を実現しており、NFTの取引やブロックチェーンゲームとの親和性も高い。この投資信託はSuiブロックチェーン上で展開されるゲーム開発やエコシステムへの投資を促進し、ゲーム業界全体にもプラスの影響を与える可能性がある。

グレイスケールによるSui投資信託の提供は、機関投資家に規制準拠型の投資機会を提供する重要な一歩となる。第3世代ブロックチェーンへの機関投資家の参入障壁を下げ、Suiエコシステムの成長を後押しするものと期待されている。

同社は別途、ライトコイン(LTC)の価格下落を好機と捉え、2,230LTCを追加購入。過去30日間で41,100LTCを累積し、同社のライトコイン保有額は2億2,000万ドル(約345億円)を超えた。グレイスケールは引き続き、機関投資家向けの仮想通貨投資商品の拡充を積極的に進めている。

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中井 純、工学博士 AIは30年以上、web3(仮想通貨)は3年以上フォロー。web3x生成AIには早くから注目し、ビジネスチャンスを研究。東大応用物理学科卒業後、ソニー研究所にて、CD、AIなどの研究開発に従事。MITの電子工学博士取得後、外資系社長を歴任。最近はハイテク・スタートアップの資金調達支援を手がけるかたわら、自らweb3x生成AIのライターとして活躍。技術的なことも分かりやすく、ユーザー目線で解説することが得意です。著書2冊。
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