投資詐欺が全体の7割超、SNSを悪用した手口が横行して若年層にも被害拡大
米連邦捜査局(FBI)は9日、「2023年仮想通貨詐欺レポート」を公開し、2023年の米国における仮想通貨詐欺被害総額が56億ドル(約8,400億円)に達し、過去最高を記録したと発表した。この数字は2022年比45%増という著しい伸びを示しており、仮想通貨の人気が高まる一方で、詐欺の巧妙化と被害の深刻化が浮き彫りになった。
FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)には、2023年中に約7万件の仮想通貨関連詐欺の苦情が寄せられた。被害の内訳を見ると、最も多かったのは投資詐欺で、総額39億ドル(約5,850億円)と全体の約71%を占めた。
FBIの犯罪捜査部門のマイケル・ノードウォール次長は、仮想通貨が犯罪者に好まれる理由として、以下の点を挙げている:
- 分散型の性質
- 取り消し不可能な高速取引
- 世界中に価値を移転できる能力
これらの特性が、被害者の資金回収を困難にしていると指摘した。
仮想通貨投資詐欺では、犯罪者はソーシャルメディアや出会い系アプリなどを悪用し、数週間から数ヶ月にわたって被害者と親密な関係を築き、信頼を得ようとする。その後、偽のウェブサイトやアプリに誘導し、仮想通貨に投資するよう仕向ける。初期には少額の出金を許可して、あたかも投資がうまくいっているかのように見せかける巧妙な手口も多い。
被害者は60歳以上の世代が多いものの、30代の若年層も大きな被害を受けており、若年層も標的になっている実態が明らかになった。FBIは、見知らぬ相手からの投資話には十分注意し、安易に個人情報を提供しないよう呼びかけている。

詐欺の手口は多岐にわたり、投資詐欺以外にも以下のような犯罪が報告されている:
- 個人情報の漏洩
- ランサムウェア
- フィッシング詐欺
- コールセンターを利用した詐欺(技術サポート、カスタマーサポート、政府機関の詐称など)
特に注目すべきは、仮想通貨ATMを悪用した詐欺の増加だ。5,500件以上の苦情が寄せられ、被害総額は1億8,900万ドル(約280億円)に上った。
FBIは、仮想通貨関連の詐欺から身を守るためのアドバイスとして、以下の点を強調している:
- オンライン上の投資案件は、その正当性を必ず確認する。
- 「うまい話すぎる」と感じたら、詐欺の可能性が高いと疑う。
- 不安を感じたら、FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)に報告する。
仮想通貨市場の急速な発展に伴い、詐欺の手口も進化を続けている。投資家や一般市民は、常に警戒心を持って行動することが求められる。同時に、法執行機関や金融機関は、これらの巧妙化する詐欺スキームと戦うための効果的な戦略を模索し続ける必要がある。
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