法定通貨としてのビットコイン廃止後も購入継続
エルサルバドルは10日、戦略的ビットコイン準備基金として合計6 BTCを追加購入したと発表した。これにより同準備基金の総保有数は6,111.18 BTCに達し、本記事執筆時点の市場価格で約5億ドル(約744億円)に相当する。
エルサルバドル政府は2021年9月、ビットコインを法定通貨として採用し、その後も継続的に購入を行ってきた。特に2022年11月からは、ナジブ・ブケレ大統領の主導により「毎日1 BTCを購入する」という戦略を公表し、ほぼ毎日購入を続けている。これにより、同国のビットコイン保有量は世界有数の規模となっている。
しかし、2024年1月の法改正により、ビットコインは法定通貨の地位を失った。現在、国内での使用は可能だが、その受け入れは民間の判断に委ねられ、税金の支払いは米ドルのみとなっている。
さらに、2024年2月にはIMF(国際通貨基金)との間で14億ドル規模の融資合意が成立し、その条件として「政府がビットコインを蓄積しないこと」が含まれていた。これにより、政府のビットコイン購入が停止されるとの観測が広がったが、ブケレ大統領は「それは止まらない」とX(旧Twitter)で明言し、政府は合意後もビットコインを追加購入している。
一方で、政府がビットコインを国家の準備資産として保持し続けていることに対しては、国内外で意見が分かれている。IMFは価格変動リスクを指摘し、政府の関与を抑えるよう求めている。また、過去にはIMFや一部の経済専門家が、国家の財政基盤が暗号資産(仮想通貨)に大きく依存することのリスクを警告してきた。
しかし、IMFはエルサルバドル政府と協議した結果、政府側が「合意されたプログラム条件と矛盾しない」と主張していると伝えた。ただし、IMF自身が政府のビットコイン購入を正式に認めたわけではない。この点について、一部のアナリストは「政府のビットコイン購入がIMFの合意とどのように整合するのか不明確だ」と疑問を呈している。
エルサルバドル政府は法定通貨としてのビットコインの役割を廃止したものの、国家の資産としては引き続き蓄積している。当初、ビットコインの導入は金融サービスの拡充や海外送金の手数料削減を目的としていたが、現在は準備資産としての保有に重点が置かれている。
今後、エルサルバドル政府がどのような方針でビットコインを保有し続けるのか、また、この政策が国内経済や国際社会にどのような影響をもたらすのか、引き続き議論が続くだろう。
関連:エルサルバドル、IMFのビットコイン購入停止要求を拒否し継続方針
関連:エルサルバドルとアルゼンチン、中南米における仮想通貨規制で協力