仮想通貨を有価証券と区別、制度改正を模索
自民党のデジタル社会推進本部に新設された「web3ワーキンググループ」が、暗号資産(仮想通貨)に関する制度改正の提言案をまとめたことが明らかになった。同作業部会の主査である塩崎彰久氏は6日、同日16時よりこの提言案が披露される予定であると公式Xで発表した。
この提言案では、金融商品取引法(金商法)において仮想通貨を新たに規定することを重視している。現在、仮想通貨は資金決済法に基づいて規定されているが、金商法上の金融商品としては定義されていない。株式や証券といった既存の有価証券とは別の枠組みで仮想通貨を定義することで、過度な規制による仮想通貨関連事業者の萎縮を防ぎつつ、適切な投資家保護を図る狙いがある。
また、仮想通貨を金融商品として規定するほか、事業者に対する開示規制の強化なども提言案に盛り込まれている。具体的には、仮想通貨の新規発行を行う事業者に対して、情報開示義務やインサイダー取引規制を課すとともに、仮想通貨交換事業者には最低資本金を現行の1,000万円から増額し、自己資本比率規制の適用を求めるという。これによって業界の健全性と透明性を高める方針だ。
この提言案は3月末までに一般からの意見を募ったうえで、4月にも改めてまとめ、金融庁に提言する方向とされている。金融庁は現在、仮想通貨の法令上の位置付けについて有識者を交えた非公開の勉強会で検討を続けている。取引市場の健全性確保に重点を置いた慎重な姿勢を見せており、6月にも制度改正方針を公表する予定となっている。その後、今秋以降の金融審議会での議論を経て、2026年の通常国会での法改正を目指す見通しだ。
仮に仮想通貨が金商法に基づく金融商品として位置付けられれば、ビットコインやイーサリアムをはじめとした仮想通貨ETF(上場投資信託)の国内展開や、有価証券と同様の分離課税の導入が現実味を帯びてくる。国内投資家の選択肢拡大や税負担軽減の実現により、国内のイノベーションがさらに促進されることに期待したい。
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