仮想通貨デリバティブ市場は弱気継続──サンタ・ラリー困難か

ヤマダケイスケ
9 Min Read
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
Highlights
  • 年内最後のFOMC後も、暗号資産デリバティブ市場の弱気なセンチメントは解消されず
  • BTCとETHのオプション市場では、価格下落に備えるプット需要がコールを上回る状態に
  • 方向感に欠ける状況が継続、サンタ・ラリーを期待する投資家は今後失望する可能性も

暗号資産(仮想通貨)取引所「Bybit(バイビット)」とデータ分析企業「Block Scholes(ブロック・ショールズ)」は12日、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内最後の金融政策決定会合(FOMC)後の市場動向を分析した共同レポートを公開した。このレポートでは、金融政策が緩和方向にあるにもかかわらず、暗号資産デリバティブ市場の弱気なセンチメントが解消されていない点が指摘されている。

オプション市場・資金調達率に明確な弱気シグナル

特に強調されたのが、オプション市場に表れている明確な弱気シグナルだ。ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)の双方で、プット・オプションへの需要がコール・オプションを上回る状況が継続していると指摘した。具体的には短期・長期いずれのオプションでも、プット側には4.4%から5.3%の高い上乗せ価格がついており、市場参加者が年末に向けた大幅な下落リスクを強く意識していることが示唆されている。

また、将来の値動きの大きさを示す予想変動率は、FOMC会合前から低下傾向にあったと指摘。特にイーサリアムの7日間予想変動率は、12月7日に記録した78%から20%ポイント以上も下落を見せた。これは、短期間で大きな価格変動が起きるとの見方が後退していることを示す結果と言える。

一方、先物や無期限スワップといったレバレッジ取引の市場でも、積極的な資金流入は確認されていない。建玉残高はFOMC前後で約80億ドル(約1.2兆円)規模とほぼ横ばいで推移し、日次取引量は現物価格が下落した11月下旬のピーク水準から半減。2025年4月以来の低水準にとどまっていることが示されている。

また、こうした慎重姿勢はアルトコイン市場にも拡大している。イーサリアムの資金調達率がプラスとマイナスを行き来する一方、XRPをはじめとしたその他アルトコインではマイナスの資金調達率が目立ち、下落を見込んだ売りポジションへの需要が根強い状況の継続が強調されている。

レポートは、「現在のデリバティブ市場のポジション状況を踏まえると、年末に価格が上昇するサンタ・ラリーを期待する投資家は失望する可能性がある」と結論づけた。現物価格を押し上げる決定的な材料を欠いている状況が浮き彫りになっている今、次に市場を動かす要因に投資家の注目が集まりそうだ。

関連:ビットコイン、FOMC後に反落──流動性低下と記録的売り圧の中、FRBの金融緩和が反転の鍵に
関連:ビットコイン、一時9万4,000ドル突破も失速──慎重姿勢継続の中、新たな底値シグナルも

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.8円)

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

JinaCoinメルマガ開始
Share This Article
仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA

厳選・注目記事

YouTube

あなたのプロジェクトを広めませんか?

JinaCoinでは、プレスリリースや記事広告、バナー広告など複数の広告を提供しています。詳しい内容は下記お問い合わせページよりご連絡ください。