流入超過の異例な状況、大統領令が市場心理を押し上げる
資産運用会社「Coinshares(コインシェアーズ)」は27日、デジタル資産投資商品(ETP)の週間レポートを公開した。レポートによると、先週(1月20日~26日)の流入額は総額19億ドル(約2,955億円)に達し、年初来(YTD)の流入額は48億ドル(約7,466億円)に上った。これは、ビットコインを含むデジタル資産を戦略的国家備蓄として評価する可能性を提案した24日の大統領令が、市場心理に好影響を与えた結果とみられている。
先週の暗号資産(仮想通貨)市場は、価格変動こそ比較的横ばいであったものの、取引量は250億ドル(約3.8兆円)に達し、コインシェアーズが信頼できると認定する仮想通貨取引所での全取引量の37%を占めた。このような活発な市場動向は、大統領令が仮想通貨市場の将来性を後押ししていることを示唆している。
地域別に見ると、米国が最も顕著な流入を記録した。先週だけで17億ドル(約2,645億円)が流入し、大統領令に関連するポジティブなニュースが市場心理を大きく押し上げた。他の主要な地域でも同様の動きが見られ、カナダで3,100万ドル(約48億円)、スイスで3,500万ドル(約54億円)、ドイツで2,300万ドル(約35億円)の流入があった。
ビットコインは、仮想通貨市場の主軸としての地位を再確認させた。先週の流入額は16億ドル(約2,489億円)に達し、年初来の流入額は44億ドル(約6,844億円)と、市場全体の流入額の92%を占めた。また、ビットコインが就任前の史上最高値を更新したことを受けて、ビットコインをショートする商品が再び勢いを取り戻し、510万ドル(約7.9億円)の流入があった。
アルトコイン市場では、イーサリアムが反発し、2億500万ドル(約318億円)の流入を記録。XRPもさらに1,850万ドル(約28億円)の流入が見られた。その他、ソラナ(690万ドル)、チェーンリンク(660万ドル)、ポルカドット(260万ドル)などが目立つ流入を記録している。
先週は、ETPの多くが流入を記録し、一部の流出を相殺する形で全体的に流出ゼロの異例な状況が生まれた。
個別ファンドでは、BlackRock(ブラックロック)の「iShares Bitcoin Trust」が引き続き資金流入をリードしており、先週の流入額は約14億ドル(約2,178億円)で、仮想通貨ETP資金流入額全体の約71%を占めた。また、Fidelity(フィデリティ)の「Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund」では約2億ドル(約311億円)の流入があり、ARK Investment(アーク・インベストメント)の「ARK 21Shares Bitcoin ETF」では約1億7,300万ドル(約269億円)の流入を記録した。
一方、Grayscale(グレイスケール)の「Grayscale Bitcoin Trust」は約1億2,400万ドル(約192億円)の流出を記録しており、依然として厳しい状況が続いている。
仮想通貨市場全体としては、大統領令や政策動向を背景に、投資家心理が大きく改善している。このような流入傾向が今後も続くか注目される。
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