ソラナがDEX市場で存在感、1月には取引の半数を占有
2025年第一四半期、仮想通貨市場は大幅な調整局面に突入した。暗号資産(仮想通貨)データアグリゲーターの「CoinGecko(コインゲッコー)」が16日に発表したレポートによれば、2025年Q1の仮想通貨全体の時価総額は、年初の一時的な高騰を経て18.6%下落し、期末には2.8兆ドル(約399兆円)となった。これは1月18日に記録した3.8兆ドル(約541兆円)から大きく後退した数値である。
この下落局面のきっかけとなったのは、1月20日のドナルド・トランプ大統領の就任直前に訪れた市場のピークであった。以降、取引活動は鈍化し、日次平均取引量も前四半期比で27.3%減の1,460億ドル(約20兆円)へと大幅に落ち込んだ。
ビットコインは市場を牽引
全体が落ち込むなかで、ビットコイン(BTC)は一定の強さを見せた。ビットコイン・ドミナンスは59.1%に達し、2021年初頭以来の高水準を記録。これはアルトコインの価格崩壊によって相対的にビットコインが選好された結果と見られる。とはいえ、ビットコイン自体も1月22日に史上最高値となる10万6,182ドルを記録した後は下落に転じ、四半期末には82,514ドルとなり、11.8%の下落率を記録した。
イーサリアムとアルトコインの苦戦
一方で、イーサリアム(ETH)は四半期を通じて急落し、3,336ドルから1,805ドルへと45.3%の下落を記録。2024年の上昇分を帳消しにする形となった。ETHの市場シェアは7.9%にまで縮小し、2019年以来の低水準となった。
アルトコイン全般も同様の傾向を示し、「その他」カテゴリに含まれる通貨群は15.7%へと市場シェアを落とした。主要通貨の中では、XRPとBNBのみが市場シェアを維持した。

ミームコインとPump.funの急落
トランプ氏のミームコイン「TRUMP(トランプ)」や「MELANIA(メラニア)」の登場により、年初には「政治的ミームコイン」ブームが巻き起こった。これにより、トークン作成プラットフォーム「Pump.fun(パンプ・ファン)」では1日7万件ものトークンが作成され、過去最高を記録した。
しかし、アルゼンチン大統領ハビエル・ミレイが支持を表明した「LIBRA(リブラ)」の開発者によるラグプル(資金持ち逃げ)事件をきっかけに、市場は急速に冷え込んだ。トークン発行数は56.3%減の3.1万件にまで落ち込み、時価総額が10万ドルに達するトークンの割合も半減した。
取引所の取引量も低下
中央集権型取引所(CEX)の現物取引量は、Q1全体で5.4兆ドル(約769兆円)と、前期比で16.3%の減少を記録。最大手の「Binance(バイナンス)」は、3月末時点で40.7%のシェアを獲得した。Q1を通して市場シェアは上昇したが、取引量は12月に1兆ドル(約142兆円)を超えた後、3月には5,887億ドル(約83兆円)に急落した。
韓国の「Upbit(アップビット)」は34.0%と最も大きな下落率を記録した。2月に大規模なハッキング被害にあった「Bybit(バイビット)」は、1月と比較して52.4%の減少に見舞われた。
DEXとDeFi市場の動向
分散型取引所(DEX)では、Q1全体ではソラナが取引量トップとなり、市場シェア39.6%、取引量は約2,937億ドルに達し、前四半期から35.3%増加した。1月には政治的ミームコインの影響でオンチェーン取引の52%を占め、取引量は過去最高を記録。しかし、ミームコイン人気の後退により、3月にはイーサリアムがトップに返り咲いた。

また、DeFiのロック総額(TVL)は27.5%減少し、1,774億ドル(約25兆円)から1,286億ドル(約18兆円)に縮小。イーサリアムはTVLで35.4%を失い、シェアも63.5%から56.6%へと低下した。新興チェーンの「Berachain(ベラチェーン)」は2月のローンチから急成長し、四半期末には52億ドルのTVLを記録し第6位に躍り出た。

こうした調整局面は、業界にとって健全な淘汰と再構築の契機でもある。短期的なボラティリティに一喜一憂することなく、技術的基盤とユースケースに注目した投資姿勢が今後ますます重要となるだろう。
関連:ビットコインから資金流出続く、仮想通貨ETP市場に再び警戒感=CoinShares
関連:ブラックロック、仮想通貨関連の純流入額が前年同期比+188% 過去最高のQ1パフォーマンスに貢献
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.46円)