中国共産党は10月29日、第20期中央委員会第5回全体会議(五中全会)で、全面的に厳しく党を治める取り組みを続けるための重要問題に関する決定を採択し、国営の新華社が1日に全文を配信している。決定は汚職対策にも1章を割き、汚職の処罰の項目で、インターネット、暗号資産(仮想通貨)、国境をまたぐ資金、ブロックチェーンなどを利用した腐敗行為を断固として取り締まると定めた。
中国共産党の決定、暗号資産を使った汚職の取り締まりを明記
決定は、番号付きの8つの章と、党と国家の監督体系などを扱う番号のない部分からなる。
第1章の総論に続いて、党員としての意識の強化や幹部の管理などの任務を並べた。第7章は汚職対策(腐敗しようとしない・できない・したくない仕組みの一体的な推進)にあてられ、暗号資産への言及は、そのうち腐敗を処罰する高い圧力を保つとした項目にある。
同じ文の前半では、将来の見返りを見込んだ利益、他人名義で保有させる取り決め、白手袋と呼ばれる代理人、政界と企業を行き来する回転ドアといった新しい型の腐敗や隠れた腐敗を、徹底して掘り下げて調べるとした。
暗号資産とブロックチェーンの語が決定に出るのは、この1文だけだ。
決定には、暗号資産の取引やマイニングの新しい規制、特定の銘柄や取引所の名前は出てこない。習近平総書記が全体会議で行った決定の説明、10月29日の全体会議の公報、30日の記者会見を伝えた新華網の記事も、暗号資産に触れていなかった。
決定は同じ章で、腐敗の新しい動きや特徴をつかみ、規律検査・監察のデジタル化と、公権力を監督するビッグデータの基盤づくりを進めて、汚職を見抜く力を高めるとする。国外への逃亡の防止、逃亡者の追跡、不正な資産の回収を強め、国境をまたぐ腐敗事件の摘発に力を入れる方針も示した。
幹部の管理監督の項目では、指導的な立場の幹部の個人事項の報告制度を整え、家族の財産や支出が通常の収入を明らかに上回る者を調べて確かめると定めた。
規律検査当局、元幹部のイーサリアム2,000枚受領を番組で公開
中国共産党の中央規律検査委員会と国の国家監察委員会は1月14日、汚職の摘発を紹介するテレビの特集番組のうち、技術を使った摘発を扱う第4回を公式サイトで公開した。番組は、ブロックチェーン技術とともに発展した暗号資産によって、腐敗に新しい形が現れたと説明している。
番組が暗号資産の事例として取り上げたのは、中国証券監督管理委員会(証監会)の科技監管司の元司長、姚前氏の事件だ。同氏は中国人民銀行のデジタル通貨研究所の所長も務め、2024年4月に審査・調査の対象となった。
番組によると、姚前氏は2018年、暗号資産業界の経営者からトークン発行での手助けを頼まれ、ある暗号資産取引所に働きかけた。
経営者の会社はトークンを発行してイーサリアム(ETH)
ETHを2万枚集め、経営者は謝礼として2,000枚を同氏に送った。
2,000枚の評価額は、最も高い時期に6,000万元(約14億2,140万円)を超えたという。
調査に当たったチームはブロックチェーン上で、2018年に2,000枚が経営者のアドレスから同氏のアドレスへ移った経路と、2021年に同氏が370枚を1,000万元(約2億3,690万円)に換えた記録をたどっている。
同氏の執務室の引き出しからは、ハードウェアウォレットも見つかった。番組によると、担当者が約4層をたどって暗号資産業者の口座から出たものと確認したとする1,000万元は、他人の名義で開かれ同氏が実際に管理していた口座に入った後、北京の別荘の代金の一部に充てられていた。
番組は、暗号資産も現実の資産に換えれば痕跡が残るとし、この別荘を、隠れたものを浮かび上がらせる現像液にたとえた。
同氏は2024年11月に党籍を剥奪されて公職を追われ、検察に送られた。番組は、この事件で規律検査・監察機関が暗号資産による贈収賄を調べる経験を積んだとしている。
今回の党の決定は、この事件を含む個別の案件には触れていない。
中国の暗号資産規制、業務の禁止は2月の通知で継続
中国は技術としてのブロックチェーンについて、党中央と国務院が10月9日に公表した意見で、国家ブロックチェーンネットワークの建設を明記した。一方で暗号資産に関する業務は、党の決定とは別に、政府の通知で長く禁じてきた。
人民銀行などは2013年、ビットコイン(BTC)
BTCは特定の仮想商品で、通貨として流通させてはならないとする通知を出した。
2021年9月には、人民銀行など10部門が暗号資産に関する業務を違法な金融活動として一律に禁じた。国家発展改革委員会など11部門も、マイニングの新規を禁じ、既存の事業を段階的に退出させる通知を出した。
人民銀行など8部門は2月6日、2021年の10部門の通知を廃止し、新しい通知に置き換えた。マイニングの通知は、引き続き整理の根拠とされている。国内での暗号資産関連の業務を違法な金融活動とする立場を引き継ぎ、海外の事業者が国内向けにサービスを提供することも認めていない。
新しい通知は、国内での現実資産のトークン化(RWA)も、主管部門が同意し特定の金融インフラを使うものを除いて禁止の対象にした。国内外の事業者や個人が、関係部門の同意なく国外で人民元に連動するステーブルコインを発行することも禁じ、既存のマイニング事業の停止と新規の禁止を求めている。
| 時期 | 発出元 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 2013年 | 人民銀行など5部門 | ビットコインは特定の仮想商品で、通貨として流通させてはならない |
| 2021年9月 | 人民銀行など10部門 | 暗号資産関連の業務を違法な金融活動とし、一律に禁止 |
| 2021年9月 | 国家発展改革委員会など11部門 | マイニングの新規を禁じ、既存の事業を段階的に退出 |
| 2026年2月6日 | 人民銀行など8部門 | 2021年の10部門の通知を廃止して置き換え。業務の禁止を引き継ぎ、国内でのRWA(例外あり)と、同意のない国外での人民元連動ステーブルコイン発行も禁止 |
| 2026年10月29日 | 中国共産党(五中全会の決定) | インターネット、暗号資産、国境をまたぐ資金、ブロックチェーンなどを使った腐敗行為を断固として取り締まる |
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※価格は執筆時点でのレート換算(1人民元=23.69円)
