仏カンヌ市、仮想通貨を活用した地元商業支援の取り組みを発表

木本 隆義
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観光都市のシン仮想通貨戦略

仏カンヌ市長デヴィッド・リスナール氏は15日、LinkedIn(リンクトイン)で仮想通貨を活用した地元商業支援の取り組みを発表し、商店や職業団体に参加を呼びかけた。この取り組みは、世界的な観光地であるカンヌ市が、新しいデジタル経済の可能性を活用し、地域経済の活性化を図る戦略の一環である。

カンヌ市ではWeb3戦略の一環として、地元商店に仮想通貨決済の導入を促進・支援する計画を打ち出した。これは、新たな顧客層(高い購買力を持つ仮想通貨利用者、いわゆる「億り人」)を呼び込むための取り組みである。すでに世界各地で普及が進む仮想通貨だが、フランス国内での利用はまだ限定的だ。今回の施策はカンヌ市の競争力向上を目指す積極的な挑戦といえる。

2月4日には、商店向けに仮想通貨決済導入のための研修会がカンヌの「Palais des Festivals(パレ・デ・フェスティバル)」で開催される。この研修では、技術的な導入方法や法務、会計、税務に関する具体的な知識が専門家によって解説される予定だ。さらに、現在利用可能な最適なツールやサービスについても、実践的な提案が行われる見込みである。

また、カンヌ市は仮想通貨に対応した店舗をリストアップし、観光客に向けた「Crypto-Friendly」ガイドを作成する計画を発表している。このガイドは、6月30日から7月3日にかけて開催される欧州最大級の仮想通貨関連イベント「イーサリアム・コミュニティ・カンファレンス(EthCC)」に合わせて公開される見込み。このイベントには、世界中から6,500人以上の技術者や投資家が集まり、仮想通貨での支払いが街の商業活動を後押しする可能性が期待されている。イベント期間中には、300以上の関連イベントも予定されており、カンヌはこの一大イベントの中心地として多くの注目を集めることになりそうだ。

カンヌ市の取り組みは、仮想通貨を単なる決済手段として捉えるのではなく、新しい経済モデルとして活用する先例を築こうとするものだ。市内の商店だけでなく、観光客にとっても利便性が向上し、さらなる観光誘致の効果が期待される。

デジタル時代に対応した環境を整え、商店や観光客が安心して仮想通貨を利用できるしくみを構築することが、今年のカンヌのテーマとなるだろう。カンヌ市が築くモデルがほかの観光都市に波及するかどうか、今後の動向に注目したい。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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