個人支援と追加証拠金で約1億ドルのポジションを維持
分散型取引所(DEX)「Hyperliquid(ハイパーリキッド)」の大口トレーダー、James Wynn(ジェームズ・ウィン)氏による劇的なトレード展開が暗号資産(仮想通貨)市場で大きな注目を集めている。
市場を操るクソ野郎どもに立ち向かえ!!!!
もし今回あいつらが勝ったら、俺は全力で戦って、この腐敗を終わらせてやる。
3日、同氏が保有するビットコイン(BTC)ロングポジションが清算寸前の状態から一時プラスへ転換。執筆時点では約253,618ドル(約3,628万円)の未実現損失が発生しているが、清算価格は103,624ドルまで引き下げられており、清算危機を脱した状況だ。

仮想通貨インフルエンサーの余烬氏の投稿によると、ウィン氏は2日までに105,890ドルでビットコインのロングポジションを建てたが、その直後に市場が急落。清算価格がわずか300ドル差まで詰め寄る危機的状況に陥った。この窮地にウィン氏は約20万USDCの追加証拠金を投入し、清算価格を104,364ドルまで引き下げてポジションを維持。その後も複数回にわたり証拠金を追加したものの改善は見られず、依然として厳しい状況が続いていた。
ウィン氏はさらなる打開策として2日、公式X上で支援を呼びかける投稿を行い、SNSユーザーからのUSDCの送金を呼びかけた。余烬氏曰く、結果として約6万ドル相当の支援が集まり、それを元に証拠金の補填を行っている。
ウィン氏は投稿内で、「私が勝てば、皆さんの提供した資金は1:1で返金される」と明言しており、支援者への返金の意思を示していた。現在この投稿は削除されており、実際に返金が行われたかは不明である。
仮想通貨業界の重鎮もこの逆転劇に反応
この一連の出来事には、仮想通貨業界の著名人も反応を示している。仮想通貨取引所「BitMEX(ビットメックス)」の元CEOアーサー・ヘイズ氏は、「仮想通貨市場における最高の取引所マーケティングキャンペーンになるかもしれない」と公式X上でコメント。ウィン氏の逆転劇がハイパーリキッドの名を広く知らしめる可能性はもちろん、同プラットフォームの独自トークン「HYPE」の価値向上や認知拡大にも寄与する可能性を示唆した。
一方、ヘイズ氏はウィン氏の行動に対して疑念も示している。ウィン氏が表向きは清算寸前のトレーダーを装いながら、実際には別のウォレットアドレスを使用して逆方向のポジションを取っていた可能性があると指摘。さらに、今回の騒動が今後予定されているハイパーリキッドのエアドロップを見据えた戦略的パフォーマンスであるとの見解も示している。
なお、仮想通貨取引所「Binance US(バイナンスUS)」は3日、HYPEのスポット取引上場決定を発表。ウィン氏の逆転劇は仮想通貨取引所にまで波及する結果となった。今回の騒動は、分散型金融(DeFi)におけるトレーダーの影響力をさらに浮き彫りにした形だ。ウィン氏のポジション状況がさらに市場へ影響をもたらすのか、今後の展開にも注目が集まる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.05円)