ビットコイン強気相場の兆し、CryptoQuantアナリストが指摘する3つの動きとは

木本 隆義
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

取引量・保有・流出が同時に示す需給の転換点

データドリブン系アナリストのアムル・タハ氏は4日、「CryptoQuant(クリプトクオント)」上の記事で、「ビットコイン強気相場再燃」が期待できる 3つの兆候を指摘した。その兆候とは、①Binance(バイナンス)の首位固め、②長期保有勢の“無言の買い増し”、③取引所残高じわ減、の3つである。これらの兆候が、複雑に絡み合いながら、市場心理をじわりと押し上げていると考えられる。短期的な価格の揺さぶりに一喜一憂する向きもあろうが、その背後では緩やかな変化が進行している可能性がある。

今回もっとも注目されるのは、もちろんビットコインそのものの動向である。大手暗号資産(仮想通貨)取引所、とくに圧倒的なシェアを誇るバイナンス、そして古参取引所として知られる「Kraken(クラーケン)」や「Bitfinex(ビットフィネックス)」の動きが、市場の鍵を握る。

市場の耳目を集めたのは、取引所最大手バイナンスの動向である。6月に入ってからというもの、バイナンスにおけるビットコイン現物取引のシェアが、驚くべきことに26%から35%へと急拡大した。これは、ビットコインが重要な価格抵抗線を試す中で、より多くの取引が集中していることを示すデータである。市場の活性化が進む中で、この変化は強気の動きとして捉えられる可能性が高い。

次に注目すべきは、長期保有者(LTH)の動向だ。彼らの動向が、市場の楽観論をさらに補強している。具体的には、彼ら「ガチホ勢」の「ネットポジション実現値(Realized Cap)」が再び200億ドルの大台を超えた。この指標は、155日以上ビットコインを保有し続ける投資家、つまり短期的な価格変動に惑わされにくい層の動向を示すものだ。この数値が上昇しているということは、彼らが売却よりも保有継続、あるいは買い増しに動いている可能性を示唆する。ガチホ勢は、その名の通り、一度保有を決めたら、そう簡単には手放さない。過去にも、こうした動きが強気相場の継続や、新たな上昇局面に先行して観測されたことがある。短期的な下落局面でも、むしろ買い増す傾向すら見られるため、彼らの動向は市場心理の重要なバロメーターとなる。今回の200億ドル超えは、いわば古参兵たちが再び鬨の声を上げたに等しい。

そして、この数日間で大きな注目を集めたのが、主要取引所からのビットコイン大量流出だ。具体的には、クラーケンとビットフィネックスの2つの取引所から、わずか2日間で合計2万BTC以上が引き出されたのである。これは、ここ数ヶ月において最大規模の短期的な流出劇であり、市場におけるビットコインの「現物不足」を加速させる可能性が高い。

取引所からビットコインが引き出されるということは、投資家がそれをすぐに売却する意思がないことの現れと解釈できる。自己管理型ウォレットなどへ移し、長期保有を決め込んだか、あるいは他のDeFi(分散型金融)プロジェクトで運用するつもりなのか? その真意はともかく、市場から供給が絞られること自体は、価格にとってはポジティブな材料と捉えられる。

これら3つの兆候――すなわち、①特定取引所の市場支配力強化、②経験豊富な長期投資家の自信回復、③取引所からの大規模な供給減少――は、それぞれが独立した事象でありながら、結果としてビットコインに対する強気の見通しという一点で収斂する。

以上の分析を示したデータドリブン系アナリストのアムル・タハ氏であるが、過去の経歴など、私的な情報は公表されていない。名前から中東・北アフリカ圏の出身を想起させるものの、本人は SNS で経歴をほぼ開示しておらず、LinkedIn等も限定公開のため詳細は確認できなかった。個人の経歴よりも、“数字で語る” 分析記事そのものがブランド化しているタイプのリサーチャーと言えるだろう。氏の渾身のレポート、あなたはどう受け取っただろうか。

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リージョナルスペシャリスト(SEA)。仮想通貨歴は10年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。『月刊くたばれMBA』編集長。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。来タイ13年。
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