ブータン特別行政区、カンバーランドDRWと提携──ビットコイン準備金の運用効率化へ

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
Highlights
  • ブータン特別行政区GMCとカンバーランドDRWがデジタル資産エコシステム構築で戦略的提携
  • 国王のビジョンに基づき、ステーブルコインインフラ開発やAIコンピューティングで協力
  • ブータンは世界最古参のビットコインマイナー国として多額のビットコイン準備金を保有

ブータン王国のGelephu Mindfulness City(ゲレフ・マインドフルネス・シティ/GMC)は15日、暗号資産(仮想通貨)取引企業のカンバーランドDRWと、ブータンのデジタル経済ビジョンを支援するための戦略的パートナーシップに関する覚書を締結したと発表した。

持続可能なデジタル資産ハブの構築へ

GMCは、ブータン南部に建設される経済ハブであり、マインドフルネス、持続可能性、イノベーションを核とした特別行政区として機能することを目指している地域である。

発表によると、この提携はジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王のビジョンに基づき、GMCにおいて「責任あるデジタル資産エコシステム」を構築することを目的としている。

提携を発表した両者は、次世代のデジタル資産フレームワーク、持続可能なマイニングおよびAIコンピューティング、ブータンのデジタル資産に関連する利回り創出機会、そしてスケーラブルな国家ステーブルコインインフラの開発などで協力する。

ブータンでの取り組みを主導するのは、GMCの事業体であるGreen Digital Ltd(GDL)だ。GDLは、再生可能エネルギーを活用したコンピューティング施設を開発し、ブロックチェーンネットワークのセキュリティを支えるとともに、ブータンの持続可能性と経済多角化の目標を推進するとのことだ。

ブータン王国は、再生可能な水力発電を利用した世界で最も初期のビットコインマイナー国の一つとして知られ、クリーンエネルギーを通じて蓄積された多額のビットコイン準備金を保有している。また、ブータンはすでにデジタル資産をGMCの戦略的準備金に統合しており、暗号資産決済を商店や観光サービスで可能にしているほか、物理的な金に裏付けられた主権保証デジタルトークン「TER」も立ち上げている。

GDLのゲレイ・ジャムツォ会長は、「カンバーランドDRWとの提携を通じて、ブータンの再生可能エネルギー基盤と世界クラスのデジタル資産流動性を結びつける」とコメント。DRWの創設者であるドナルド・R・ウィルソン氏は、「ブータンの明確なビジョンと持続可能な開発への注力は、責任ある先進的なイノベーションにとって理想的なパートナーだ」と述べた。

今回の発表は、ブータンが近年進めている国家のデジタル主権強化政策の延長線上にあるとみられる。国家による積極的な暗号資産活用事例として注目しておこう。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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