USDCによる非カストディ型リアルタイム決済が実現
暗号資産(仮想通貨)関連の金融サービスを提供する「Baanx(バーンクス)」は4月30日、決済大手「Visa(ビザ)」との提携を発表し、ステーブルコイン決済対応カードを発行することを明らかにした。このサービスはまず米国で開始され、順次、世界各国に展開される予定だ。
今回発表されたカードは、ユーザーが自ら管理するウォレットから、米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」を使い、Visa加盟店で直接支払いを行うことを可能にする。支払いが行われると、リアルタイムでユーザーのウォレットからBaanxにUSDCが送金され、Baanxが法定通貨への換金と加盟店への決済処理を行う仕組みだ。
従来の”仮想通貨カード”と異なる点は、ユーザーが取引の瞬間まで自身の資産の管理権を維持し、カストディアルサービスプロバイダーに資金を預ける必要がないことである。
Baanxの最高商務責任者(CCO)であるサイモン・ジョーンズ氏は、「”ステーブルコインカード”は、グローバルな金融アクセスにおける大きな飛躍だ」と述べ、特に通貨が不安定な地域のユーザーにとって、米ドルペッグのステーブルコインを自己管理しながらシームレスに利用できることの意義を強調した。
ジョーンズ氏は、近年のトレンドとして、ウォレットがフィンテック機能を取り込み、フィンテックが仮想通貨を取り込むという「融合」が進んでいると指摘する。Baanxはすでに世界のトップ10自己管理型ウォレットのうち6つに決済ソリューションを提供しており、「今後1年で大手ウォレットの6〜7割がカード機能を搭載するだろう」と予測した。
Visaの仮想通貨部門グローバル責任者であるカイ・シェフィールド氏は、DeFiやWeb3ゲーム、NFTといったさまざまなWeb3サービスにアクセスできる自己管理型ウォレットは、「スーパーアプリのようなものになる可能性を秘めている」とコメント。そして、Web3の世界で得たデジタル資産を日常世界に戻すために、今回発表した”ステーブルコインカード”の存在が必要になると、その意義を述べた。
決済大手Visaの参画は、ステーブルコインが実用的な決済手段として認知されつつあることを示唆している。Web3の世界と現実世界の資産移動がよりスムーズになり、仮想通貨が”当たり前”のものとして使用されるようになる未来に向けた、大きな一歩と言えるだろう。
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