世界最大級の資産運用会社であるバンガード・グループは2日、自社の証券取引プラットフォームにおいて、暗号資産(仮想通貨)を主要資産とするETF(上場投資信託)および投資信託の取引を解禁する。同社の運用資産額は11兆ドル(約1,712兆円)を超える。
これまでの方針を一転、顧客需要に対応
バンガードはこれまで、暗号資産について「ボラティリティが高く、長期的なポートフォリオには投機的すぎる」との見解を示し、関連商品の取り扱いを制限していた。しかし、今回の決定により、その慎重な姿勢を大きく転換させる形となる。
2日から、同社の5,000万人を超える顧客は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、XRPなどを主要な保有資産とする投資商品を取引できるようになる。
バンガードの証券・投資部門責任者であるアンドルー・カジェスキ氏は、「暗号資産ETFおよび投資信託は、市場の変動期を通じて試され、流動性を維持しながら設計通りに機能してきた」と評価。さらに「この種のファンドのサービスを提供する管理プロセスは成熟し、投資家の嗜好も進化し続けている」と、方針転換の理由を説明した。
背景には、個人・機関投資家双方からの根強い需要がある。2024年1月に登場したビットコイン現物ETFは、市場の変動を経てもなお多額の資金を集め続けており、競合であるブラックロックの「iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)」だけでも約700億ドル(約10兆8,900億円)の運用資産を誇る。
なお、バンガードは現時点では独自の暗号資産商品を立ち上げる計画はないとしている。また、ミームコインに関連するファンドや、米証券取引委員会(SEC)の承認を受けていないファンドについては、引き続き取り扱いを禁止する方針だ。
同社の方針転換は、多くの投資家にとって、暗号資産市場がもはや無視できない存在となっていることを裏付けるものと言えそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.62円)




