WLFIとCZ氏、「USD1はまだ取引不可」と注意喚起
新たなステーブルコイン「World Liberty Financial USD(USD1)」をめぐり、25日未明、同名を騙る詐欺トークンが複数出回る事態が発生した。
USD1は、米トランプ大統領とその家族が支援するDeFi(分散型金融)プロジェクト「World Liberty Financial(ワールド・リバティ・ファイナンシャル、以下WLFI)」が開発する米ドル連動型のステーブルコインである。現在はテスト段階とみられ、公式には取引を開始しておらず、一般ユーザーが購入・売却できる状態にはなっていない。
発端は、23日夜、暗号資産(仮想通貨)のリサーチを行うXアカウントが、「WLFIがイーサリアムおよびBNBチェーン上でUSD1を発行し、現在テストを行っているようだ」と投稿したことだった。
25日未明、この投稿に「Binance(バイナンス)」の元CEOチャンポン・ジャオ(CZ)氏が、「Welcome to @BNBChain!(ようこそBNBチェーンへ!)」と反応。あわせて、USD1のコントラクト情報が確認できるBscScan(BNBチェーンのブロックチェーンエクスプローラー)のURLを添付し、同トークンの存在を裏付けた。
ところがその直後から、USD1の名称を悪用した詐欺コインが複数のDEXに出現。特に「PancakeSwap(パンケーキスワップ)」では、USD1と称するトークンが次々とリストされ、実際に取引が行われている様子がDEX Screener上でも確認された。

※図はDEX Screenerで「USD1」を検索した画面。CZ氏の投稿直後から、「USD1」という名称のコインがリストに現れ、取引や流動性の情報が表示されている。
この状況を受けて、最初の投稿からおよそ1時間半後、CZ氏は再びXで投稿し、詐欺に対する警告を発した。
この投稿以降、多くの詐欺師が同じ名前のコインを作成したと聞きました。
公式のUSD1はまだ取引可能ではありません。詐欺に騙されないでください。
さらに、CZ氏の警告ポストを引用して、WLFIの公式Xも「USD1は現在取引できません。詐欺にご注意ください。我々をフォローして公式発表をお待ち下さい」と投資家に注意を促した。
当然ながら、USD1の名称を騙って作成された一連のトークンは、WLFIとは一切関係のない”詐欺コイン”である。こういった詐欺コインは、話題のプロジェクト名を利用して投資家を誘い、資金を奪う目的で作られており、将来的にはほぼ例外なく無価値になる。
暗号資産市場では、今回のように注目度の高いプロジェクトやステーブルコインが取り沙汰された際、それに便乗したスキャム(詐欺)トークンが発生するケースが少なくない。トークン名やロゴだけで判断せず、発行元のコントラクトアドレスや公式発表の有無を確認するなど、投資家側にも慎重な対応が求められる。
本件の場合は、CZ氏が正規のコントラクトアドレスを記載したBscScanのリンクを提示しており、その情報を基に真偽を見極めることは容易である。ただし、より慎重を期すのであれば、「CZ氏のアカウントが乗っ取られた可能性」なども視野に入れ、複数の信頼できる情報源をもとに判断するべきだ。
このように”詐欺コイン騒動”はあったものの、WLFIおよびCZ氏はUSD1の存在自体を否定しておらず、むしろその注目度の高さを証明する現象といえる。今後の正式ローンチや流通開始のアナウンスに注目しつつ、冷静にプロジェクトの動向を見守りたいところだ。
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