チェーンに依存しないDEX「ユニバーサルX」最新版「V2」正式リリース

木本 隆義
20 Min Read
画像はUniversalX公式サイトより引用

「V2」で加速する「大抽象化時代」(Abstraction Era)

アカウント抽象化技術に特化した開発者プラットフォーム「Particle Network(パーティクルネットワーク)」は21日、チェーンに依存しない取引プラットフォーム「UniversalX(ユニバーサルX)」の最新版「V2」を正式リリースした。

出典:UniversalX公式X

時系列を追ってみよう。

2024年12月3日、パーティクルネットワークは「The Abstraction Era has commenced」(大抽象化時代の始まり)と題し、ブロックチェーン業界に向けた大々的な声明を発表した。その一環として、チェーンに依存しない初の取引プラットフォーム「ユニバーサルX」の構想を明らかにした。

そして翌日の12月4日、正式に「ユニバーサルX」のローンチを告知。このプラットフォームの最大の特長は、ブリッジを利用せずに多様なチェーン上のトークンを取引できること。さらに、ガス代の支払いに任意のトークンを利用できるほか、クレジットカードやApple Payなどによる購入にも対応。完全にノンカストディアルな仕様でありながら、中央集権型取引所(CEX)並みの操作性をアピールした。

さらに12月10日には、「How to Trade on UniversalX」と題する詳細なチュートリアルが公開された。ここでは「ユニバーサルアカウント」の概念が紹介され、従来のようにチェーンごとにウォレットやガス代の管理を切り替える複雑さから解放されることが強調された。

通常であれば、あるチェーンのトークンを送金し、さらに別チェーンでガス代を用意するといった手順が必要になる。しかしユニバーサルXでは「一つのアカウント・一つの残高」モデルを採用することで、初心者から上級者まで一貫した取引体験を提供するという。

2025年1月15日には、「An Unparalleled User Experience: How UniversalX Achieves Chain Abstraction」と題する記事が発表され、ユニバーサルXが実現するチェーン抽象化技術について詳説された。単なる使い勝手の良さをアピールするだけでなく、開発基盤を他のアプリケーション基盤として展開できる可能性が示唆された。

これにより、参入障壁の引き下げやイノベーションのプラットフォーム化が期待される局面に突入。ネットワーク外部性を活用することで、デベロッパーやユーザーがさらに集まり、エコシステム全体が成長する好循環が見込まれる。これが机上の空論に終わらず進行するかどうかは、今後のユーザー獲得と運用実績次第だ。

2025年1月21日、ついに「UniversalX V2」が正式リリースされた。「V2」では、以下のような高度な機能拡張が搭載されている。

  • 高度なトレーディングインターフェース 
    初心者向けの簡易操作を維持しつつ、同時に最大6枚のチャート表示や、インジケータの設定が可能となった。
  • リアルタイムレーダー機能  
    新規トークンや急成長トークンを一目で確認できる仕組みが備わった。
  • 市場ハイライト機能  
    時間枠ごとの上昇銘柄を素早く把握し、投資判断の効率化を支援する。
  • ポートフォリオトラッキングとソーシャル機能  
    保有資産のパフォーマンスを可視化し、成果を共有することも容易になった。
  • ガス代支払いの柔軟化  
    所持している任意のトークンからガス代を差し引ける仕組みを整備し、チェーンごとのガス不足を解消できるようになった。

「V1」で掲げていた「初心者フレンドリー」な要素に加え、V2は高度な取引機能を求める“デジェン”層にも対応するなど、汎用性を大幅に高めている。分散型取引所(DEX)でありながらCEXに迫るUI/UXを実装し、かつノンカストディアルを貫く姿勢が高く評価されている。

V2のベネフィット

  1. ブリッジ不要による摩擦コストの削減
    ブロックチェーン間のウォレットやガス代を切り替える手間は、ユーザーにとって大きなハードルとなる。ユニバーサルアカウントにより、このコストが大幅に削減されれば、市場拡大への追い風になる可能性が高い。
  2. CEXユーザーの取り込み
    従来「DEXは手間が多い」と考えられてきたが、ユニバーサルXの操作感はCEXに近く、資産管理の自由度が高い。これにより、CEXからDEXへ移行ハードルが下がり、さらなる流動性向上が期待される。
  3. 2025年は「大抽象化時代」元年
    パーティクルネットワークは2025年を「Abstraction Era」(大抽象化時代)の本格到来と位置づけている。ユニバーサルXのUI/UXによってチェーンの境界を意識させない環境が整えば、他プロジェクトも同様の抽象化を志向し、全体的な市場拡大につながるシナリオが考えられる。

リスク要因

  1. 複数チェーン対応の技術的課題
    複数チェーンの同時サポートは技術的に複雑化を招き、セキュリティリスクの増大が懸念される。
  2. 規制やガバナンスの不確定性
    分散型取引の領域では規制やガバナンスの整備が進んでおらず、未知数のリスクが依然として存在。

経済的インパクト

  • 分散型取引のハードルを下げることでユーザーが増加し、取引量やプロトコル収益が拡大する可能性がある。結果としてイノベーションを促進する好循環が生まれるかどうかは、ユニバーサルXのユーザビリティや安全性にかかっている。

パーティクルネットワークのユニバーサルXは、特にV2を通じて「チェーンを超える」問題を解決する手段として注目を集めている。DEXとCEXの垣根を下げ、利便性を向上させる意義は大きい。2025年の市場動向とともに、他のプロジェクトがどのように追随するか、そしてユニバーサルXがどれだけコミュニティや流動性を取り込めるかが焦点となろう。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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