米ドル建てステーブルコインで米ドル支配力強化を目指す
ドナルド・トランプ大統領は20日、「ブロックワークス・デジタルアセットサミット」において、今後のアメリカにおける暗号資産(仮想通貨)政策に関するビジョンを発表した。
演説では、国家戦略としてのビットコイン保有、規制緩和、法整備の推進などが明言され、米国を「ビットコイン超大国」として位置づける意欲が鮮明に示された。
トランプ氏は演説の冒頭で、数週間前にホワイトハウスで初めて開催された「デジタル資産サミット」に言及。ホワイトハウス、人工知能(AI)および仮想通貨政策の責任者による主導のもと、世界トップクラスの仮想通貨関係者が一堂に会し、意見を交わしたと述べた。また、同サミットに参加したトランプ政権のAI・仮想通貨責任者であるサックス氏を「素晴らしく非常に聡明な人物」と称賛した。
続いてトランプ氏は、「戦略的ビットコイン準備金」およびビットコイン以外の仮想通貨からなる「米国デジタル資産備蓄」の創設に署名したと明言。これにより、米連邦政府が保有するデジタル資産の長期的価値を最大化し、不必要に安値で売却するという「バイデン政権が犯した過ち」を正すと強調した。
また、仮想通貨業界への規制攻撃ともいえる「オペレーション・チョークポイント2.0」についても批判。「これは規制の名を借りた政府の武器化による法的攻撃であり、2025年1月20日をもって完全に終わっている」と断言した。
さらにトランプ氏は、議会に対してステーブルコインや市場構造に関する「常識的でシンプルな」法整備の実現を呼びかけた。これにより、大企業から個人投資家までが安心して投資・革新に取り組める環境を整備し、アメリカ発の経済成長を後押しするとした。
演説では、「米ドル建てステーブルコイン」の普及によって米ドルの世界的支配力を強化する可能性にも言及。今後数十年にわたって米ドルの優位性を維持する鍵として、仮想通貨技術の活用を重視する姿勢を示した。
最後にトランプ氏は、「ここアメリカで、金融の未来を創り上げる」と述べ、参加者に対し「ともにアメリカをビットコインの超大国、そして世界の仮想通貨の首都にしよう」と呼びかけた。
今回の発表は、仮想通貨業界にとって政策転換の明確なシグナルである。国家レベルでビットコインの保有・活用を掲げ、明確な法整備を推進する姿勢は、米国の金融政策の大転換を意味する。専門家の立場から見ても、これは仮想通貨の正統な金融資産としての地位を強化し、世界経済における米国のプレゼンスをさらに高める契機となるだろう。
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