xStocksは「仮想通貨を超える資産」になれるか
トークン化株式を提供する「xStocks(エックスストックス)」は6月30日、暗号資産(仮想通貨)取引所「Kraken(クラーケン)」および「Bybit(バイビット)」、さらにSolana(ソラナ)チェーン上でのローンチを正式に発表した。同社は今回の複数プラットフォームにおける展開を「インターネット資本市場にとって次の段階」と位置付けている。
xStocksはApple(アップル)やTesla(テスラ)、Google(グーグル)など、米国を代表する55以上の企業の株式やETF(上場投資信託)をトークン化。これにより、従来の株式市場が抱えていた取引時間の制限や高額な最低投資額といった参入障壁を排除し、多くのユーザーが手軽にデジタル資産として株式を取引できる仕組みを提供している。
今回の発表をきっかけにクラーケンおよびバイビットユーザーは、取引所口座から直接xStocksを取引できるようになった。グローバルなユーザーを抱える両取引所のxStocksの提供開始は、従来の仮想通貨取引にとらわれない新たな収益機会をユーザーへ提供するものとなるだろう。
また、xStocksはソラナエコシステムへも展開。Phantom Wallet(ファントムウォレット)やSolflare Wallet(ソルフレアウォレット)など、ソラナ標準対応のウォレット上での管理・スワップに対応した。これにより、ユーザーは証券会社や管理機関に直接依存せずに、自身の手で株式資産の運用を進められるようになった。
加えて、xStocksはソラナ上の主要DeFi(分散型金融)プロトコルである「Kamino Finance(カミノファイナンス)」や「Raydium(レイディウム)」、「Jupiter(ジュピター)」などとも統合。ユーザーはこれらのプラットフォームを通じて、スワップや流動性提供による手数料インセンティブの獲得も可能になった。DeFiとの融合により、トークン化株式は単なる金融商品にとどまらず、エコシステム全体で価値を生む資産へと進化しつつある。
現在、クラーケンやバイビット、ソラナ上ではAAPLxやNVDAxを含む10種類のxStocksがリストされている。xStocksは今後も対応銘柄を拡大する方針を示しており、トークン化株式の普及が一段と進むことが予想される。仮想通貨と伝統的な金融資産の垣根を超えた動きが、市場構造にどう影響を与えるかは今後の注目ポイントになるだろう。
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