異なるチェーン間での直接移動を可能にする設計
ステーブルコイン・USDTの発行元である「Tether(テザー)」は3日、同社の金(ゴールド)裏付け型ステーブルコイン「Tether Gold(XAUT)」の進化版である「XAUt0(エックスエーユーティーゼロ)」を、TONブロックチェーン上で発行すると発表した。
XAUt0は、その価値がゴールドによって100%裏付けられたデジタル資産である。具体的には、1XAUt0トークンが、スイスの金庫に保管された1ファイン・トロイオンス(約31.1035グラム)のゴールドの所有権を証明する形となる。
XAUt0の最大の特徴は、「LayerZero(レイヤーゼロ)」の「OFT(Omnichain Fungible Token)標準」に基づいて構築されている点とされている。これにより、XAUt0は特定のブロックチェーンに縛られることなく、複数の異なるブロックチェーン間で、ブリッジやラッピングといった手段を介さずにシームレスに移動・利用が可能な「オムニチェーン」対応を実現しているという。この点が、従来のXAUTとの最大の差別化ポイントと見られる。
テザー社は、すでにUSDTのオムニチェーン版である「USDT0」をローンチしており、今回のXAUt0の発表は、その戦略を実物資産にも拡大するものと言える。
XAUt0のようなオムニチェーン対応の金ステーブルコインは、24時間365日取引可能であることや、DeFiプロトコルでの活用が見込まれる点から、新たな投資の選択肢となることが期待できそうだ。
テザー社によるXAUt0の発表は、伝統的な安全資産である金とオムニチェーン技術との融合であり、デジタル資産市場における金のアクセシビリティと流動性をさらに高める可能性を秘めている。XAUt0が今後どのようなエコシステムを構築し、金市場および暗号資産(仮想通貨)市場全体に影響を与えていくのか、その動向が注目される。
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