テザー、金裏付けステーブルコイン「XAUt0」をTONブロックチェーン上で発行

伊藤 将史
8 Min Read
画像はTether Gold公式サイトより引用

異なるチェーン間での直接移動を可能にする設計

ステーブルコイン・USDTの発行元である「Tether(テザー)」は3日、同社の金(ゴールド)裏付け型ステーブルコイン「Tether Gold(XAUT)」の進化版である「XAUt0(エックスエーユーティーゼロ)」を、TONブロックチェーン上で発行すると発表した。

XAUt0は、その価値がゴールドによって100%裏付けられたデジタル資産である。具体的には、1XAUt0トークンが、スイスの金庫に保管された1ファイン・トロイオンス(約31.1035グラム)のゴールドの所有権を証明する形となる。

XAUt0の最大の特徴は、「LayerZero(レイヤーゼロ)」の「OFT(Omnichain Fungible Token)標準」に基づいて構築されている点とされている。これにより、XAUt0は特定のブロックチェーンに縛られることなく、複数の異なるブロックチェーン間で、ブリッジやラッピングといった手段を介さずにシームレスに移動・利用が可能な「オムニチェーン」対応を実現しているという。この点が、従来のXAUTとの最大の差別化ポイントと見られる。

テザー社は、すでにUSDTのオムニチェーン版である「USDT0」をローンチしており、今回のXAUt0の発表は、その戦略を実物資産にも拡大するものと言える。

XAUt0のようなオムニチェーン対応の金ステーブルコインは、24時間365日取引可能であることや、DeFiプロトコルでの活用が見込まれる点から、新たな投資の選択肢となることが期待できそうだ。

テザー社によるXAUt0の発表は、伝統的な安全資産である金とオムニチェーン技術との融合であり、デジタル資産市場における金のアクセシビリティと流動性をさらに高める可能性を秘めている。XAUt0が今後どのようなエコシステムを構築し、金市場および暗号資産(仮想通貨)市場全体に影響を与えていくのか、その動向が注目される。

関連:ステーブルコインからAIへ──テザーが分散型AIネットワーク「QVAC」を公開
関連:テザー、約4.6億ドル相当のビットコインを購入──Twenty Oneに同額で売却へ

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA