新興市場への包括的な金融サービス普及を目指す
ステーブルコインのUSDTを手掛ける「Tether(テザー)」は13日、エルサルバドルでDASP(デジタル資産サービスプロバイダー)ライセンスを取得し、同国へ本社を移転すると発表した。
エルサルバドルは、ビットコインを法定通貨として採用した世界初の国であり、デジタル資産や最新のイノベーション技術に対して好意的な姿勢を示している。暗号資産(仮想通貨)分析サイト「Mempool(メンプール)」のデータによると、エルサルバドル政府のビットコイン保有量は執筆時点で約6,027 BTC(約5.7億ドル)となっており、国家としてビットコインの積極的な導入を推し進めている状況だ。
テザーは、エルサルバドルが構築するビットコインを取り入れた経済システムが、同社の使命である「デジタル資産を通じて個人や企業を支援する」と一致していることを強調。同社は今回のDASPライセンス取得が、ビットコインをはじめとした仮想通貨のさらなる利用促進につながる重要な一歩だと捉えている。
テザーによると、エルサルバドルへの本社移転にかかる手続きは完了間近だという。同社はエルサルバドルを拠点に、金融サービスが行き届いていない地域に対し、ビットコインやステーブルコインを活用した包括的な金融サービスの普及を進めていく予定だ。
テザーのCEO、パオロ・アルドイーノ氏は今回の決定について、「テザーにとっては自然な流れ」とコメント。エルサルバドルがデジタル資産のイノベーションを牽引する国であると強調したうえで、同国を拠点にしたグローバルな金融システムの変革を推進していくと述べた。
テザーの今回の動きは単なる企業戦略ではなく、仮想通貨の可能性を活用してグローバルな課題を解決する取り組みの一環とも言える。同社は今後、エルサルバドル政府や企業などと協力し、仮想通貨を活用した新たな金融テクノロジーの形を模索していく予定だ。
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