高市早苗首相は2日、Xへの投稿で、自身の名を冠した暗号資産(仮想通貨)「SANAE TOKEN(サナエトークン、ティッカー:SANAET)」について関与を全面否定した。
首相の名を冠した経緯とトークンの実態
サナエトークン(SANAET)は2月25日、連続起業家・溝口勇児氏が手がける政治系YouTubeチャンネル「NoBorder」を母体とするWeb3コミュニティ「NoBorder DAO(ノーボーダーDAO)」が、ソラナ
SOLチェーン上で発行した。同DAOが推進する「Japan is Back」プロジェクトのインセンティブトークンと位置づけられており、アプリを通じて集めた国民の声を首相へ届け、民主主義のアップデートを目指す構想である。
発行と同時に公認後援会アカウント(@TakaichiKoenkai)もXで紹介投稿を行い、首相との結びつきを示唆する状況が生まれた。価格は発行直後から急騰し、初値から一時約30倍に達している。
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発行後、SNS上では法的リスクへの懸念やウォレット管理への疑問が相次いだ。NoBorder DAOは2月28日付の公式声明でこれらに包括的に回答。「内部で法的整理をしており投機目的のトークンではない」「分散ウォレットはハッキング対策を目的とした慣習的な管理手法であり、売却の事実はない」と説明した。さらに声明では「公認後援会との協業はすでに決定しており、肖像の使用も後援会の確認を得ている」とも明記している。
しかし今回、首相本人が「私の事務所側も、当該トークンがどのようなものなのかについて知らされておりません」と明言したことで、両者の説明に大きな齟齬が生じた。「後援会の確認を得て肖像を使用した」という運営の主張と、「事務所も知らされていない」という首相の発言は真っ向から対立する。
2月28日の声明公表翌日となる3月1日、SNSユーザーの川島氏が「分散管理ウォレットの一部からサナエトークンが売却されている」とXで新たに指摘した。「売却の事実はない」とする声明直後に疑義が呈された格好だ。
溝口氏も「運営の中に利確してるやついるの?話が違くないか」と投稿したが、「白々しい」「被害者ヅラ」といった批判が集中。「なぜトークンをロックしなかったのか」「運営がブロックチェーンの仕組みを理解していない」とする指摘も広まり、プロジェクトのガバナンス体制そのものを問う声が強まっている。
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首相本人による公式否定により、サナエトークンは実質的に現職首相の名を無断で使用した形となった。法的リスク・内部利確疑惑・説明の矛盾が重なるなか、NoBorder DAOが今後どのような説明を行うかが焦点となる。




