米証券取引委員会(SEC)の取引・市場部門は13日、暗号資産(仮想通貨)証券の取引に使用される特定のユーザーインターフェース(UI)について、ブローカーディーラー登録を不要とする条件を示すスタッフ声明を公表した。DeFiのフロントエンド開発者がブローカーとみなされるかという業界の長年の懸念に対し、初めて具体的な法的指針が示された形だ。
「カバードUI」の条件──取引を執行せず、助言せず、保管しない
声明の対象となるのは、ウェブサイト、モバイルアプリケーション、ブラウザベースのツールなど、ブロックチェーン上の暗号資産証券取引をユーザーが準備・送信するために使用する「カバードUI」と呼ばれるソフトウェアである。
SECが提示した登録免除の条件は厳格で、対象UIは取引の交渉や執行を行わないこと、投資助言を提供しないこと、ユーザー資金を保管(カストディ)しないことが求められる。複数の取引経路をユーザーに提示する場合は、価格やスピードなど中立的な指標によるソート・フィルターを可能にする必要があり、特定の取引ルートを「最良」「推奨」と表現することも禁じられている。手数料体系や利益相反の開示義務も課される。
この措置は5年間の時限的なもので、将来の正式なルール制定により変更される可能性がある。SECは声明が正式な規則や拘束力のある規制ではなく、スタッフの現時点での法解釈であることを明記している。
適用範囲は「暗号資産証券」に限定──現行DeFiへの直接的影響は限定的
注意すべきは、今回の声明が対象としているのは「暗号資産証券(crypto asset securities)」の取引UIに限定されている点である。3月にSEC・CFTCが発表した暗号資産5分類フレームワークでは、BTC・ETH・SOLなど主要18銘柄は「デジタルコモディティ(非証券)」に分類されている。つまり、ユニスワップやジュピター、メタマスクのスワップ機能などで取引される大半のトークンは非証券であり、この声明が直接適用される場面は現時点では限定的だ。
ただし、今後トークン化証券(株式や債券をブロックチェーン上で発行・取引するもの)が普及すれば、これらのフロントエンドが証券を扱う場面が増える。その際に「UIを提供しているだけでブローカー登録が必要なのか」という問いに対する先行的な指針として、今回の声明は大きな意味を持つ。非カストディアル・非裁量型のUIは原則としてブローカーではないという方向性が示されたことで、DeFiフロントエンド開発者にとっての法的リスクが整理された。
JPモルガンら伝統金融からの反発も──「DeFi」の名が免罪符になるか
今回の声明は、1月にJPモルガンやシタデルなど大手金融機関がSECに対して「DeFi企業にも同等の規制を」と要求していた流れの中で発表された。伝統金融側はフロントエンドUIやウォレット、流動性プロバイダーを実質的なブローカーとみなすべきだと主張してきたが、SECのスタッフはより限定的な解釈を採用した形だ。
ただし、声明はあくまでスタッフ見解であり、今後の正式なルール制定で方針が変わる可能性もある。3月にSEC・CFTCが暗号資産5分類フレームワークを発表し、大半の暗号資産を非証券と認定したことと併せ、トランプ政権下での暗号資産規制の明確化が加速している。




