米SEC、Crypto.comに法的措置取らず──調査終了で対立に終止符

ヤマダケイスケ
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SEC対応に軟化の兆し、業界との関係に変化も

米証券取引委員会(SEC)は27日、暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォーム「Crypto.com(クリプトドットコム)」に対して、同社の調査終了を通知したことが明らかになった。この通知は、2024年12月にCrypto.comが取り下げたSECへの提訴に関するものだ。SECはCrypto.comに対して、法的措置を講じないことを決定し、調査はこれで正式に終了となった。

両者の争点のきっかけには、2024年8月にSECがCrypto.comに対して発行した「ウェルズ通知」がある。この通知は、企業や個人に対し、SECが正式に法的措置をとる予定であることを通達するものだ。通知内容では、Crypto.com上で扱うトークンが証券として分類される点が指摘されており、同社に対する法的な圧力を強めた。

Crypto.comはウェルズ通知を受けて、2024年10月にSECを提訴。Crypto.com側の主張としては、「法律の範疇を超えて一方的に管轄権を拡大している」というものだった。さらに同社は、SECがビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)を除く、その他の仮想通貨を証券をみなすような規制を確立したと主張。この規制が自社の仮想通貨ビジネスの運営を妨げていると強調していた。なお、Crypto.comは2024年12月、SECに対する訴訟を取り下げている。

Crypto.comのCEOであるクリス・マルシャレク氏は今回の結果を受け、「業界とコミュニティが相次ぐ嵐を乗り切ってきたことを誇りに思う」と公式Xでコメント。また、同社の最高法務責任者であるニック・ラングレン氏は、「SECのリーダーシップが、執行措置や和解なしに調査終了を決定したことを嬉しく思う」と喜びをあらわにした。

前バイデン政権下における反仮想通貨体制は、銀行や投資家などの仮想通貨へのアクセスを厳しく制限してきた。その権限を最大限に利用してきたSECの旧体制にも、Crypto.comは苦渋を舐めさせられてきたはずだ。トランプ政権に移行し、仮想通貨に対する排他的な姿勢が見直されつつある今、Crypto.comをはじめとしたプラットフォームの躍進が期待されている。

Crypto.comは公式発表の中で、「SECから訴訟を起こされなかった唯一のグローバル仮想通貨取引所」という点を新たに強調した。今回の結果を受け、Crypto.comが今後どのような展開を見せていくのか、その動向に注目が集まる。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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