ビットコイン・ジーザス「ロジャー・バー」氏、助けを求める|日本の億り人も無関係ではないヤバい話
ビットコイン初期投資家のロジャー・バー氏は26日、法的問題を解決するための支援をトランプ新大統領に求める動画を公開した。
バー氏はビットコイン黎明期から積極的に資金を投じてきた人物であり、「ビットコイン・ジーザス」の異名で知られている。「先見性」と「普及活動」が評価され、暗号資産(仮想通貨)業界の発展に大きく寄与してきた。
しかし近年、米国当局により税金詐欺や虚偽申告などの容疑が浮上し、バー氏は最大109年の懲役刑に直面している。その背景には、彼が米国市民権を放棄し、セントクリストファー・ネイビスの市民権を取得したことが影響しているとの見方が強い。
最大109年という長期刑は、金融犯罪を含む複数の容疑が重なった場合に想定される量刑である。IRS(米国歳入庁)は、歴史上ではアル・カポネを脱税で有罪に追い込んだことで知られ、本件も税務当局の摘発がいかに厳格であるかを示す典型例となってしまった。バー氏への告発は、「仮想通貨の保有や売却益の過少申告」に関わる点が焦点になっている。
- 2011年、バー氏はビットコインへの投資を開始し、世界初の“クリプト富豪”に。
- 2014年、同氏はセントクリストファー・ネイビスの市民権を取得し、米国市民権を放棄。この決断が税務面の問題を複雑化させたとみられる。
- 2017年、バー氏は大量のビットコインを売却し、多額の利益を得たが、米国当局はその際の納税処理を問題視。
- 2020年以降、米国当局が仮想通貨の脱税・詐欺を強く取り締まる方針を打ち出し、バー氏の活動履歴に対する精査を開始。
- 2024年、バー氏はスペインで逮捕され、米国への引き渡しを求められている。これを阻止するため、今回の「トランプ大統領に公的な救済(恩赦)を求める動画」の公開に至った。
バー氏がトランプ大統領に助けを求めた背景には、在任中に数々の恩赦を行ってきた「実績」があると推察される。特に政治的影響力を行使し得る人物へのアピールが、バー氏の法的リスクを軽減する可能性があるとの見方もある。
バー氏の支持者らは署名運動を展開し、トランプ大統領による恩赦を期待している。もっとも、トランプ大統領側がこの要請にどのように応えるかは不透明だ。ロジャー・バー氏が直面する最大109年の懲役リスクは、仮想通貨業界と国家間の規制の狭間に生じる問題の象徴といえる。
本件は、ビットコイン・ジーザスと呼ばれた人物でさえ、海外移住にともなう税務問題を軽視すれば深刻な事態に陥る例を世に示した格好だ。 昨年末以来のビットコイン高騰で日本にも新たな億り人が多数誕生したはずだが、タイに移住したから逃げ切りセーフ、などとはならないので、ご注意願いたい。
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