安心して利用できるか
世界最大手暗号資産(仮想通貨)取引所「Binance」は26日、米ドルに1:1で裏付けされた「First Digital USD(FDUSD)」を上場すると発表した。
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既に、現物取引は開始されていて、BNB/FDUSD、FDUSD/BUSD、FDUSD/USDTのペアが利用可能。
上場を記念して、2023年7月26日17時(日本時間)から、追って通知があるまで、現在の3ペアに加えて将来上場される全てのFDSUD現物・信用取引ペアの手数料キャンペーンを実施される。
FDUSD(First Digital USD)は、First Digital Labsのブランド名で運営されている「FD121 Limited」(香港)が発行する1:1のUSDを裏付けとしたステーブルコインだ。現金および現金等価物によって裏打ちされており、ユーザーはFDUSDトークンを米ドルの等価価値と交換することができる。
準備金は、Prescient Assuranceなどの独立した第三者機関によって監視および監査されている分離された銀行口座に保管され、その監査報告書は毎月公開される。ユーザーは、First Digital Labsの公式ウェブサイトで最新の積立金の詳細を確認することができる。
FDUSDはイーサリアムとBNBチェーンで利用可能で、今後さらに多くのブロックチェーンに対応する予定とのこと。
記事執筆時点で最新の監査報告書(2023年7月20日発行)を見てみると、6月23日時点で総供給量は1,073.8FDUSDで、準備金は1,073.8ドルとなっている。準備金の内訳は、現金100%となっている。
監査報告書時点だと、総供給量があまりに少ないので、CoinMarketCapで、記事執筆時点の総供給量を調べてみると約1000万ドル(約1400億円)だった。
3度目の正直なるか
これまで、BInanceは、2つのドルステーブルコインを、手数料無料などを通して推してきたが、どちらもトラブルに見舞われている。
1つ目は、BUSDだ。Binanceが発行元のPaxosに名前を貸して運営され、一時は3兆円を超える時価総額を誇っていたが、今年初めにニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から、リスク管理やデューデリジェンスに問題があるとして、発行停止を命じられていた。
2つ目は、TUSDだ。BUSDの頓挫を受け、Binanceでの手数料無料キャンペーンが実施されたことで急成長したステーブルコインだ。一時約4500億円を超える時価総額を超えたが、準備金を預けていたPrime Trust社(米国)が破綻し、リスク管理の脆弱性が露呈したことに加えて、トロン創設者のジャスティン・サン氏が、TUSD発行元のTrust Token社の真の所有者ではないかという噂が立ったことで、安全性が疑問視されるようになっている。