オンチェーン分析企業「CryptoQuant(クリプトクオント)」は16日、企業によるビットコイン(BTC)導入の勢いが直近で鈍化しているとの見解を公式Xで示した。これまで市場を押し上げてきたビットコイン導入ラッシュに陰りが見え始めており、その影響がビットコイン財務戦略を主導する主要企業の株価にも及んでいると同社は指摘する。
企業のビットコイン導入が7月を境に鈍化
クリプトクオントによると、2025年は新規企業によるビットコイン導入が急拡大した年だという。7月には21社が新規導入を発表。年初の3社から7倍に膨らむというブーム的な盛り上がりを見せた。この動きを背景に、国内のビットコイン財務企業「Metaplanet(メタプラネット)」の株価は一時355%超の急騰を記録し、国内外の暗号資産(仮想通貨)市場での存在感を確かなものにした。
しかし、企業導入の勢いは長く続かなかった。8月に入ると新規導入企業は15社に減少。市場での熱狂が一服した格好となり、メタプラネット株も下落基調へシフト。執筆現在の株価は593円で、6月に付けた1,900円台のピークから大幅に値を戻している。わずか3カ月で上昇分をほぼ吐き出す形となったことから、「もはや過去の銘柄」として位置付ける投資家も少なくない。

海外の主要企業も同じく逆風にさらされている。業界をリードする「Strategy(ストラテジー)」は、7月に460ドル台をつけていた株価が340ドルを割り込み、強い売り圧力に押され続けている。ビットコイン導入を武器に成長ストーリーを描いてきた企業の株価の勢いが、相次いで失速している状況だ。

市場での逆風にもかかわらず、両社はビットコイン投資の方針を崩していない。株価低迷の中でもビットコインを財務資産として積み増しており、市場での立ち位置を確保しようとしている。こうした背景を踏まえ、「新規導入の勢いが落ち、主要企業株も下落基調にある現状は冷却トレンドの初期段階だ」とクリプトクオントは指摘している。
ビットコインの企業導入はこれまで通り価格を下支えする要素になり得る。だが、主要企業の株価下落が続く現状、急騰を引き起こす起爆剤にもなり得るかは市場でも意見が割れそうだ。市場は今や、熱狂的な投機から現実的に冷静な評価を下す段階に移りつつある。
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