ミームコイン収益で米国債務削減へ?キューバン氏の風刺的提案
米国の実業家マーク・キューバン氏は21日、自身の公式Xでミームコインの発行を「提案」する投稿を行った。この投稿は暗号資産(仮想通貨)業界やSNS界隈で大きな話題を呼んでいるが、冗談や皮肉の要素が強いとみられている。
キューバン氏は投稿の中で、ミームコインを「TRUMP」に倣った形式で発行し、収益を米国財務省に送るというユニークなアイデアを提案。「ギャンブルしたいならかまわないが、少なくともそれを米国の債務削減に役立てよう」と語った。また、透明性を確保するため、ウォレットアドレスを公開し、すべてのトランザクションを誰でも追跡できる仕組みを設けるとした。この提案は、TRUMPの投機的性質や市場への影響を皮肉る意図が強いと解釈されている。
TRUMPは18日に発行され、取引開始からわずか数時間で約90倍もの価格高騰を記録し、現在は時価総額ランキング25位に位置している。また、メラニア・トランプ氏が20日に発行したミームコイン「Melania Meme(MELANIA)」も一時20,000%以上の急騰を見せ、TRUMPと並んで市場で注目を集めている。
一方で、キューバン氏は20日の別の投稿で、仮想通貨市場の現状についても痛烈な批判を展開している。
「鋳造して、印刷して、売って、どうでもいい。それがあなたの提案する世界のモットーだ」と述べ、仮想通貨市場を「詐欺の温床」として非難。「これは私が今まで聞いた中で最大級の利己的なでたらめだ。あなたの世界には所有権なんて存在せず、ただの憶測だけだ」と強調した。
さらに、SEC(米証券取引委員会)への規制の形骸化も指摘。「こうした現状では規制当局が法律を執行する能力を失ってしまう」と述べ、仮想通貨市場の現状が投資家保護を欠き、正当性を損ねていることを強調した。また、IPOプロセスを改変し、仮想通貨の仕組みを透明化するべきだと提案した。
一方で、キューバン氏は仮想通貨全般に批判的なわけではない。彼はDOGE(ドージコイン)について、手数料の低さやコミュニティの結束力を評価しており、自身のNBAチーム「Dallas Mavericks(ダラス・マーベリックス)」ではDOGEを決済手段として採用している。TRUMPとは異なり、DOGEには実用性と社会的価値があると見なしている。
キューバン氏の投稿は、仮想通貨市場の方向性が投機性に偏り、投資家保護や社会的意義が欠如している現状を痛烈に批判している。TRUMPやMELANIAといったミームコインの話題性に対し、キューバン氏の投稿はそれを皮肉りつつ、仮想通貨の健全な発展に向けた課題を提起する内容となっている。
もしキューバン氏が本当にミームコインを発行した場合、その仕組みや透明性、社会的意義を兼ね備えたプロジェクトになることが期待される。批判や皮肉を超えた形で、仮想通貨市場に新たな可能性を示す未来を見せてくれるかもしれない。
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