マックハウス、メタプラネットに続けるか?ビットコイン取得戦略を発表

木本 隆義
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「掘って、さらに買う」攻めの財務戦略 9月17日スタート

全国250店舗を展開するカジュアル衣料大手の「Mac-House(マックハウス)」は9日、臨時株主総会の承認を経て、ビットコイン取得方針を正式決定したことを発表した。同社は近年、実店舗網を軸にECも伸ばしており、6月には管理統括本部内に「デジタル資産運用グループ」を新設する計画を発表し、新領域へ舵を切っている。

今回の決定のねらいは財務の多角化だ。暗号資産(仮想通貨)市場が「デジタルゴールド」と呼ばれるビットコインを頂点に急速に制度化する中、同社は保守的な現金保有だけでは成長余地が限られると判断。分散型資産をバランスシートに組み込み、インフレ耐性と収益機会の両取りをねらう。

取得スキームのメインはドルコスト平均法で、毎月定額を積み上げる。一方、相場が急落した場合は「機動的な一括取得」で買い増す二段構えとした。開始日は9月17日、投資原資は第三者割当増資で調達した17億1,500万円。価格を平準化しつつ好機を逃さない設計だ。

今週7日には、同社は国内マイニング大手「ZEROFIELD(ゼロフィールド)」と包括契約を結び、「発掘」と「保有」を両輪で回す方針を示していた。今回の取得計画は、その第二幕にあたる。

リスク管理体制もすでに固まった。複数取引所に口座を分散し、内部にはサイバーセキュリティの専門家を配置。会計処理については、JICPAガイドラインに準拠する方針だ。こうして外部ハッキングと内部統制の両面を抑え、投資家の不安を払拭する構えだ。

衣料小売が仮想通貨を抱える姿に懐疑的な向きもある。それでも同社は、衣食住に次ぐ「第四の必需品」がデジタル資産になる日を見すえる。服とビットコイン―異色の取り合わせが功を奏すか否かは、市場と同社のガバナンスが試すことになるだろう。

マックハウスの新戦略は、日本企業が仮想通貨を財務基盤に組み込む先行事例として注目されている。9月の初回購入がスムーズに進むか、そして株価がどう反応するか。まずはそれを見届けたい。

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リージョナルスペシャリスト(SEA)。仮想通貨歴は10年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。『月刊くたばれ経済学』『月刊くたばれMBA』編集長。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。来タイ13年。
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