安価な電力料金がもたらすビットコインマイニングの急成長
ニュースメディア「Africa Report(アフリカ・レポート)」は25日、エチオピアの国営電力会社「エチオピア電力(EEP)」が、ビットコインマイニングによって月間売上の18%を獲得していることを報じた。
アフリカ最大級の水力発電所「グランド・エチオピア・ルネッサンス・ダム(GERD)」の電力を活用し、EEPは暗号資産(仮想通貨)産業の新たな収益源を築いている。
EEPのマーケティング・事業開発担当ディレクターであるヒウォット・エシェトゥ氏は「ビットコインマイニングからの収益は、エチオピアが近隣諸国に輸出する電力収益を上回っている」と述べている。
アフリカ全土でマイニング施設の開発が進んでいる理由の一つは、安価な電力料金と豊富な再生可能エネルギー資源を活用できる点にある。エチオピアの電気料金は1kWhあたり約3.2セント(約5円)と、世界的に見ても競争力の高い水準にある。これは日本の1kWhあたり約25円(東京電力エリアを基準)と比較すると、5分の1のコストでビットコインを採掘できる計算になる。
かつて中国は世界最大のビットコインマイニング拠点だったが、政府の厳しい規制措置によって、拠点を海外に移す事業者が増えた。アフリカは比較的規制が緩和されていることや、電力供給のコスト競争力が高いことから、多くのマイナーにとって魅力的な選択肢になっているようだ。
エチオピアをはじめとする多くのアフリカ諸国では、送配電網が十分に整備されていないため、せっかく発電された電力が十分に活用されず、結果的に捨てられてしまうケースが少なくない。
この課題に対処するため、再生エネルギーを利用する発電所の近隣にマイニング施設を設置することで、余剰電力を有効活用する取り組みが進んでいる。この方法により、電力の無駄を減らすだけでなく、ビットコインマイニングを通じて外貨を獲得するという経済的なメリットも実現している。
昨今のビットコイン価格高騰により、今後はさらに多くの発電事業者や政府機関がこの分野に参入すると予想されている。しかし、規制体制が十分に整備されていない現状では、資金洗浄や不正行為に利用されるリスクが依然として高いと言える。
そのため、政府は経済的な利益を追求する一方で、適切な規制の導入や監視体制の整備を進め、これらの課題に対処しながら慎重に投資を行う必要があるだろう。
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