イーサリアム4,000ドル突破、長期的強気相場の兆候
イーサリアムの価格は、4,000ドル越えの価格維持を試みている。依然として相場は4,000ドルを介した拮抗戦が続いているが、過去にも非常に意識されていた『4,000ドルの壁』を完全に打ち破ろうとしている。この展開は、『ビットコインが最高値に達した後、イーサリアムが遅れて上昇する可能性がある』と複数のアナリストの指摘とも一致しており、さらに複数の指標が長期的なバブルの始まりを示唆している。
オンチェーン指標はイーサリアム需要の高まりを示唆
CryptoQuant(クリプトクアント)の認定アナリストCrypto Avails氏による分析では、イーサリアム現物取引所での純流出が続いており、これが価格上昇を促しているとされている。同氏の分析では、オンチェーン指標の一つである『取引所イン/アウト&ネットフロー』が用いられている。イーサリアムの現物取引所での純流入と純流出は、その価格動向を理解する上で非常に重要な指標の一つであり、取引所に出入りするETHの総量が市場の供給と需要のバランスに影響を与えていることを示している。
オンチェーン指標『取引所イン/アウト&ネットフロー』は以下のように分析に用いられる。
- 純流出が増えると、ETHが取引所からコールドウォレットなどに移され、売却される可能性が減少する。これにより市場供給が減少し、需要が高ければ価格が上昇しやすくなる。つまり、純流出は価格にとってポジティブなシグナルとされる。
- 純流入が増えると、ETHが取引所に送られ、投資家が売却を準備している可能性が高くなると考えられる。これにより市場供給が増加し、売り圧力が高まり、価格が下落する傾向がある。つまり、純流入は価格にとってネガティブなシグナルとされる。

2022年、純流入と純流出と相関する値動きの例
2022年初頭、ETHの価格は4,000ドルから1,000ドルに下落。この時期、取引所に大量のETHが流入しており、売り圧力が高まった結果、価格は下落。しかし、2022年7月以降、ETHの純流出が増え始め、市場供給が減少したことで、価格は回復し始めた。
価格上昇のための条件
Crypto Avails氏は、『ETHが上昇トレンドを維持するには継続的な純流出が必要』と語っている。取引所でのETH供給が減少し、需要が増えれば、価格に上向きの圧力がかかることが予測される。さらに、『ETHの純流出が続けば中長期的な価格上昇が期待され、これが他のアルトコインのパフォーマンスにも良い影響を与える』と述べている。
特にアルトコインシーズン(アルトコイン全体が価格上昇する時期)において、ETHの価格が強気であれば、他のアルトコインもそれに追随して上昇する可能性を示唆している。
2025年、イーサリアム価格6,000ドル到達予想
著名アナリストのAli氏(@ali_charts)は、イーサリアムが6,000ドルに到達する可能性があると指摘した。
同氏は、週足チャートを基にした上昇平行チャネルの分析を示した。2022年から継続している平行チャネルにおいて、現在、ローソク足が半値ライン付近を推移していることが確認される。
また、この半値ラインは4,010ドル付近であると推測され、2024年3月と5月につけた高値が意識されるこのレジスタンスを突破した場合、2025年の5月ごろには上昇平行チャネルの上限値である6,000ドル付近までは容易に到達するだろうと予想している。
過去サイクル上では現在はバブルの初期段階
Ali氏は別のX投稿で、オンチェーン指標『長期保有者の未実現利益/損失指標(Long Term Holder Net Unrealized Profit/Loss)(以下:長期ホルダーNUPL)』を用いて、長期保有者の動向に注目した。同氏は過去の相場サイクルと比較した結果、現在の相場はまだ上昇が始まったばかりの初期段階であると述べた。
この指標は、ETH保有者の未実現利益と損失の差を測定することで、イーサリアムネットワーク全体が利益状態にあるか損失状態にあるかを評価するものだ。長期ホルダーNUPLは、155日以上暗号資産(仮想通貨)を保有している投資家の行動を評価し、市場サイクルを以下の5段階に分類する。
- 「Cappitulation」-「降伏」(赤)
- 「Hope – Fear」- 「希望 – 恐怖」(オレンジ)
- 「Optimism – Anxiety」 – 「楽観 – 不安」(黄)
- 「Belief – Denial」- 「確信 – 拒絶」(緑)
- 「Euphoria – Greed」 – 「陶酔感 – 強欲」(青)
また、長期ホルダーNUPLが「赤(降伏)」から「青(強欲)」に近づくにつれて、価格が一貫して上昇していることが確認されている。
Ali氏は、過去2回の強気相場(2017年およびと2021年)において、長期保有者が「青(強欲)」のゾーンに移行したタイミングで価格が大幅に上昇し、ピークを迎えている点を指摘した。その上で、現在のイーサリアム相場は「緑(確信)」の段階に突入したばかりであり、「青(強欲)」のゾーンに移行するまでには、まだ大きな上昇余地が残されていると予想している。
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