ドバイ政府、行政サービス手数料の支払いにステーブルコイン導入へ

木本 隆義
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ドバイのキャッシュレス化をCrypto.comが支援

ドバイ政府は12日、暗号資産(仮想通貨)による政府手数料支払いを正式に可能とする覚書を締結した。これは、ドバイ政府の財政を所管する機関である「Dubai Finance(ドバイファイナンス)」と、仮想通貨プラットフォーム「Crypto.com(クリプトドットコム)」による画期的な合意であり、ドバイのキャッシュレス戦略を加速させる重要な一歩となる。

この覚書はドバイ行政府事務局長のアブドゥラ・モハメド・アル・バスティ氏と、ドバイファイナンス総局長のアブドゥルラフマン・サーレ・アル・サーレ氏の立ち会いのもと、ドバイファイナンスとクリプトドットコムの代表者によって締結された。両者は安定性と安全性を担保したうえで仮想通貨を活用した政府サービス手数料の支払い手段を提供し、ドバイのデジタル金融改革の推進に貢献する姿勢を示している。

背景にあるドバイのキャッシュレス戦略は、安全かつ効率的な決済を促進し、官民双方でより包括的なデジタル取引を実現することを目指している。今回の取り組みにより、政府が新たなデジタル決済チャネルを整備し、ステーブルコインを用いた円滑な支払いを可能にする。これにより、ドバイが世界的な金融イノベーションの中心地としての地位をさらに強固にすることが期待されている。

ドバイ行政府事務局長のアル・バスティ氏は、政府の決済システムに安全な仮想通貨ソリューションを採用することで、未来のニーズに先回りして対応し、世界経済や金融の変化に柔軟に応じられると強調した。また、ドバイファイナンス総局長のアル・サーレ氏も、ドバイがデジタル決済分野で先頭に立つために、この覚書が大きく貢献すると述べている。ドバイ政府は今後も官民パートナーシップを推進し、デジタル経済に対応した新たな金融サービスを展開していく方針だ。

クリプトドットコムの社長兼COO(最高執行責任者)であるエリック・アンジアニ氏は、ドバイが目指すキャッシュレス社会は世界的に先駆的な構想であり、初の包括的な政府規模での支払いデジタル化を支える役割を担うことを誇りに思うと語った。一方、ドバイファイナンスは公的機関と民間企業が協力し合うことで、安全かつ効率的なデジタル金融取引を実現し、利用者の信頼を高める基盤を築くとしている。

仮想通貨を用いた決済は、取引時にUAEディルハムへ円滑かつ安全に換算され、ドバイファイナンスの口座へと送金される予定である。これにより企業や個人利用者はシームレスな支払いを享受でき、ドバイ政府の各種サービス手数料を仮想通貨ウォレットで支払う道が開かれる。その結果、従来の決済手段では得られなかった利便性と先進性が確保され、デジタル金融エコシステムの一層の発展が見込まれる。

この戦略は年間少なくとも80億ディルハム以上の経済効果を生み、フィンテック分野の急速な拡大を後押しすると試算されている。キャッシュレス社会の実現がドバイの経済成長を支える大きな原動力になり、世界をリードする先進的な都市としてのドバイの評価をさらに高めるだろう。今後の動向に注目したいところである。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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