仮想通貨市場へのハードル低下、投資家層の拡大が期待
暗号資産(仮想通貨)運用会社「21Shares(トゥエンティワンシェアーズ)」は28日、米国証券取引委員会(SEC)にDOGE(ドージコイン)の現物型ETF「21Shares Dogecoin ETF(トゥエンティワンシェアーズ・ドージコイン・ETF)」の申請を行った。
ドージコインは、2013年にネットミームから生まれた「ジョーク通貨」である。そのユーモラスさが逆に大衆を引きつけ、イーロン・マスク氏など著名人が頻繁にツイートしたこともあり、予想外の知名度と取引高を獲得した。そんな異色の仮想通貨がETFという伝統的金融市場への参入を目指すという展開は、業界内外から驚きをもって迎えられている。
21シェアーズは、仮想通貨を専門に扱う運用会社であり、特にETF商品の設計・運営で知られている。同社が今回申請したETFは、「CF DOGE-Dollar US Settlement Price Index」をベンチマークに採用。ドージコインの価格推移を忠実に追跡し、レバレッジやデリバティブを一切使わず、ドージコインの現物のみを保有するという直球勝負の内容だ。
今回SECに提出された申請書では、投資家に対するリスク説明も詳細に行われている。仮想通貨市場の変動性、流動性リスク、規制変更に伴う影響が明記されるなど、いたって現実的かつ慎重な姿勢が示されている。また、申請書には法的な留意事項も明確に記載され、SEC承認前に誤解を招くような販売促進活動が行われないよう注意を促している。
今回のETFの上場先は未定だが、承認が下り次第、市場への投入が見込まれている。ETFのシェアは継続的に発行されるため、承認されれば、一般投資家にとってもドージコインへのアクセスがより容易になる可能性がある。これにより、仮想通貨市場へのハードルが下がり、投資家層の拡大も期待される。
ミームコインをETF化する試みは、仮想通貨市場の成熟度と多様性が新たなフェーズに入ったことを示している。はたしてSECは、この異端児に承認を与えるのか?金融市場の融合を占う上でも注目の一手となるだろう。