ビジネスインサイダーは23日、新型コロナウイルスのパンデミック期に急騰した高級腕時計市場が、数年間続く可能性のある苦境に陥っていると報じた。業界アナリストたちは、暗号資産(仮想通貨)市場の暴落が高級腕時計市場の低迷に大きく影響していると指摘している。
中古市場はピークから33%下落
高級腕時計の中古市場でも、パンデミック期の最高値から価格が大きく下落した。中古高級腕時計の価格を示す指標であるウォッチチャート総合市場指数は、パンデミック直後のピークから33%下がっており、過去1年間ではおよそ5%上昇している。
コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、クラウディア・ダルピツィオ氏によると、高級腕時計は2025年、高級品の中で最も成績の悪いカテゴリーだったという。
ロレックス、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲのような一部の主要ブランドはわずかな成長を見せているものの、現在ほとんどの高級腕時計メーカーは苦戦しているか、成長が止まって停滞している。「伝統ある名門ブランド」であっても例外ではないとダルピツィオ氏は語る。
暗号資産バブルが腕時計市場を押し上げ
高級腕時計業界で長年コンサルタントを務めるオリバー・ミューラー氏は、2021年と2022年が腕時計市場にとって最も良い年だったと考えている。
パンデミック後の腕時計市場のバブルは、いくつかの特別な理由が重なった結果だとミューラー氏は説明する。その主な理由とは、暗号資産やネットで話題になったミーム株が急騰し、多くの投資家に短期間で大きな利益をもたらしたことだという。
ミューラー氏は、中古市場で高級腕時計を買ってすぐに転売することで利益を得るトレーダーについて、「クリプトボーイズを自称する人たちは、突然、腕時計というもので大金を稼げることに気づいた」と話している。
ビットコイン弱気相場が転売市場に打撃
現状はパンデミック期の過熱市場からいくつかの点で変化している。最も大きな要因の一つが暗号資産市場の暴落だ。
ビットコインは2022年に厳しい弱気相場に入り、腕時計の転売ビジネスにも関わっていた暗号資産の投資家に打撃を与えたとミューラー氏は語る。
その他の要因として、アメリカの消費者の購買意欲の低下や、世界最大級の高級品消費国である中国の経済減速も影響している。中国は不動産危機に陥り、2022年には過去約半世紀で最も低いGDP成長率を記録した。
市場回復には数年かかる見通し
時計コンサルタントのアンドリュー・モーガン氏は、市場は2022年にピークに達したと考えている。モーガン氏は、「あの価格水準に再び到達するには何十年もかかるだろう」と語り、市場は今後も「わずかな成長」にとどまるだろうと予想する。
ダルピツィオ氏は、時計市場は今後も落ち着きを取り戻す途中にあり、世界経済が再び成長を始めるまでの数年間は全体的に低迷が続くと推測している。「おそらく価格は底値に近づいているが、正確にどこまで下がるかはわからない」と述べた。
ダルピツィオ氏とモーガン氏によると、高級腕時計の世界では新しい時代が始まったという。腕時計の新時代は、かつてのような派手さよりも、上品で洗練されたものを求める動きがあることが特徴だ。




