米CFTC、個別株の無期限先物を解禁──同じ日に業界団体が提訴

米CFTC、個別株の無期限先物を解禁──同じ日に業界団体が提訴
水澤 誉往
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Highlights
  • 米CFTCのセリグ委員長が米国時間3日、個別株に連動する無期限先物が登録取引所で初めて取引可能になったと表明
  • カルシやコインベースの先物取引所など3社の申請が、45日の審査期間の満了でみなし承認の扱い
  • 業界団体CMAは同日、個別株の無期限先物は証券ベースのスワップでSECの管轄だとして承認の取り消しを求め提訴

米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ委員長は米国時間3日、個別株に連動する無期限先物(パーペチュアル)が、CFTCに登録した取引所で初めて取引できるようになったとの声明を出した。無期限先物は、海外の暗号資産(仮想通貨)取引所で広く扱われてきた商品だ。同じ日、証券取引所やマーケットメーカーなどでつくる米業界団体Capital Markets Alliance(CMA)は、この承認の取り消しを求めてCFTCを連邦地裁に提訴した。

個別株の無期限先物、カルシなど3社の申請がみなし承認に

声明の注によると、ここでいう取引所は、米証券取引委員会(SEC)にも全米証券取引所として届出登録し、証券先物を扱える指定契約市場(DCM)を指す。承認はCFTC規則40.3に基づくみなし承認で、2000年商品先物近代化法(CFMA)上の証券先物商品として扱う。

商品取引所法と連邦証券法の両方の規制がかかるという。一方で声明は、取引所名や銘柄、取引を始める日を示していない。

CMAの訴状によると、承認されたのは予測市場のカルシ、コインベース(COIN)傘下の先物取引所、ビットノミアルの3社が9月18日に出した申請だ。

訴状によると、CFTCは45日の審査期間のうちに不承認の通知などを出さず、期間は2日に終わった。このため申請は、承認の命令書がないまま、承認されたものとみなされた。

無期限先物には満期がない。価格を参照する株価に近づけるため、買い持ちと売り持ちの側で定期的にお金をやり取りする(ファンディング)。先物の価格が株価より高いときは買い持ち(ロング)の側が売り持ち(ショート)の側に払い、低いときは逆になる。

取引所申請の中身ファンディングの間隔
カルシ58契約(株式55銘柄と、ETFまたは米国預託証券(ADR)3本)1日ごと
コインベースの先物取引所個別株の無期限先物の一式(見本はアップル(AAPL)株)1時間ごと
ビットノミアルアルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)など10銘柄8時間ごと
出典:CMAの訴状(米国時間3日提出)をもとにJinaCoin作成

セリグ氏は声明で、5月に承認したビットコインBTCBTCの無期限先物に続き、デジタル・コモディティから伝統的な証券へ広げる措置だと位置づけた。米国の投資家がCFTCの規制の保護のもとで取引でき、海外のしばしば規制のない取引の場に頼らずに済むと述べた。

規制の不確実さと両機関の規制のずれで、新しい商品はSECのポール・アトキンス委員長の言う規制の「無人地帯」に取り残されていたが、その時代は終わったとも説明した。

ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)は10月29日、trade.xyzと共同で、Hyperliquid(ハイパーリキッド)HYPEHYPE上の無期限先物を、規制当局の承認を条件に米国で提供する計画を発表していた。今回の声明と訴状は、この計画に触れていない。

仮想通貨の無期限先物、CFTCは以前スワップと主張

CMAが争うのは、無期限先物を先物とスワップのどちらに分類するかだ。法律上、個別株に連動するスワップは証券ベースのスワップとなり、SECの専属の管轄に入る。訴状によると、証券ベースのスワップを個人投資家に提供できるのは、SECの監督を受ける全米証券取引所に限られる。

訴状は、CFTC自身が暗号資産の無期限先物をスワップとして扱ってきたと指摘する。2020年には暗号資産取引所BitMEX(ビットメックス)の運営会社を、2023年にはバイナンスなどを提訴し、いずれも無期限契約はスワップだと主張していた。

2件とも、裁判所の同意命令が出ている。ビットメックスは2021年8月、バイナンスは2023年12月だ。

CMAは、CFTCが5月にカルシのビットコイン無期限先物を申請の翌日に先物として承認し、理由を説明せずに立場を変えたと主張する。訴状によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)はこの承認を不服としてワシントンDCの連邦地裁に提訴し、裁判は続いている。

時期(米国時間)出来事
2020年10月CFTCがビットメックスの運営会社を提訴、無期限契約はスワップと主張
2023年3月CFTCがバイナンスなどを提訴、無期限契約はスワップと主張
2026年5月29日CFTCがカルシのビットコイン無期限先物を承認(その後CMEが提訴)
9月18日カルシなど3社が個別株の無期限先物を申請
10月2日カルシの広範な株価指数の無期限先物がみなし承認に
11月2日3社の申請の審査期間が終了
11月3日セリグ委員長が声明、CMAが提訴
出典:CFTCの声明とCMAの訴状をもとにJinaCoin作成

業界団体CMA、承認の取り消しと差し止めを請求

CMAは米国時間3日、ニューヨーク南部地区の連邦地裁に訴状を出した。被告はCFTCと、職務上の立場でのセリグ委員長だ。訴状によると、セリグ氏は現在CFTCのただ一人の委員でもある。申請した3社は被告に入っていない。

訴状は2つの点で行政手続法(APA)違反を主張する。1つ目として、満期も将来の受け渡しもない個別株の無期限先物は証券ベースのスワップであり、承認はCFTCの権限を超えるとした。

2つ目は、CFTCが立場を変えた理由を説明せず、投資家や証券市場への影響も十分に検討しなかったという点だ。

請求には、承認の取り消しや差し止め命令、証券ベースのスワップに当たるとの確認が含まれる。裁判が終わるまで承認の効力を止めることも求めた。

訴状によると、CMAのほか、ナスダック(NDAQ)やCboe Global Markets(CBOE)も、商品は証券ベースのスワップだとして、3社がSECに出した届出の破棄を求めていた。CMAの会員名は、訴状と発表のどちらにも書かれていない。

CMAで幹事(セクレタリー)を務めるアダム・フォード氏は発表で「確立された規制の枠組みを回避する金融商品の拙速な導入は、投資家保護をむしばみ、米国の金融システムの健全性と強靭性を損なう」と述べた。

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株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
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