暗号資産（仮想通貨）市場の次の大きなトレンドを占う重要指標である「ビットコイン・ドミナンス」の今後の方向性を巡り、著名アナリストの間で見解が真っ二つに分かれている。一方はビットコインへの資金集中を予測し、他方は歴史的なアルトシーズンの到来を予測する相反する分析が注目を集めている。

ビットコイン・ドミナンス急騰かアルトシーズンか

ビットコイン・ドミナンスは、暗号資産市場全体の時価総額に占めるビットコインの時価総額の割合を示す指標だ。この数値の変動は市場の資金流動を把握する重要な手がかりとなる。

一般的に、ドミナンスが低下するとビットコインからアルトコインへ資金が移動していることを示し、「アルトシーズン」到来の兆候とされる。逆にドミナンスが上昇する場合は、市場の資金がビットコインに集中していることを意味する。

強気派：コーウェン氏「BTCに流動性集中」

アナリストのベンジャミン・コーウェン氏は、BTCドミナンスが「極めて近いうちに」急騰するとの強い見方を示した。

同氏は自身のXで、「BTCは王様であり、今後数週間はそこに流動性が流れ込むべきだ。アルトコイン（への注目）は重要なことから気を散らすものだ」と述べ、市場の資金は再びビットコインに集中するだろうと予測している。

この分析の背景には、同氏が以前から主張している相場の周期性がある。コーウェン氏は現在のビットコイン価格動向が2020年の状況と類似していると指摘。2020年は春から夏にかけて高騰した後、秋に一時的な価格調整を経て年末に再び大幅上昇した経緯がある。

同氏は2025年も同様のパターンを辿り、年末にかけてビットコイン価格が大きく上昇すると分析している。この予測がアルトコインではなくビットコインへの資金集中を予想する根拠となっている。

弱気派：Moustache氏「歴史的アルトシーズン到来」

一方、アナリストのMoustache氏はBTCドミナンスの暴落とアルトシーズンの到来を予測している。

同氏はテクニカル分析の観点から、BTCドミナンスが弱気パターンとされる「アセンディング・ブロードニング・ウェッジ」を形成していると指摘。「このパターンは下方向にブレイクするのを待っている状態だ。そしてそれは、2017年や2021年に見られたようなアルトシーズンを意味する」と述べ、全面的なアルトコインの上昇相場に自信を示した。

2017年と2021年のアルトシーズンは、ビットコインの上昇に続いてアルトコインが大幅に上昇した歴史的な相場として知られている。特に2021年のアルトシーズンでは、多くのアルトコインがビットコインを大幅に上回るパフォーマンスを記録した。

市場は重要な転換点に

両アナリストの分析は、同じチャートデータを基にしながらも、時間軸や分析手法の違いから正反対の結論を導き出している。この見解の対立は、現在の暗号資産市場が重要な岐路に立っていることを示唆している。

コーウェン氏の分析が正しければ、投資家はビットコインへの投資を重視すべきということになる。一方、Moustache氏の予測が的中すれば、アルトコインへの分散投資が有効な戦略となる可能性が高い。

どちらのシナリオが現実となるかは、今後数週間から数か月のビットコイン・ドミナンスの動向によって明確になるだろう。投資家にとっては、両方の可能性を視野に入れたポートフォリオ戦略が重要になりそうだ。

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