誰でも扱えるWeb3ドメインの実用段階へ
プライバシー保護を軸に据えたブラウザを開発する米国のテクノロジー企業「Brave(ブレイブ)」は21日、自前のトップレベルドメイン『.brave(ドットブレイブ)』を発表した。
『.brave』は「ブロックチェーン上で稼働するドメイン」という点で、従来のDNS(Domain Name System、ドメイン名システム)の在り方に対する、大きな挑戦となる。ブレイブはパートナーである「Unstoppable Domains(アンストッパブル・ドメインズ)」と組み、約8,500万人のユーザーに新たな形のデジタルIDを提供しようとしている。
『.brave』はPolygon(ポリゴン)上でミントされており、Ethereum(イーサリアム)やBitcoin(ビットコイン)、Solana(ソラナ)、Base(ベース)など主要ネットワークに対応している。そのため、煩雑な拡張機能を導入する必要がなく、ブラウザそのものに統合された形でスムーズに機能する。つまり、自分だけの『.brave』を取得するだけで、暗号資産(仮想通貨)の送金も、従来のような長いアドレスの使用を避けられる設計だ。
また、Web3世界の特徴でもある検閲耐性を活用し、IPFS経由でサイトを構築することも可能となる。さらに、セキュアなメッセージ機能やdAppへのログイン機能、NFTバッジによるリワードなど、多彩な機能が詰め込まれている。これらはすべてブレイブのブラウザとウォレットで直接サポートされており、すでに「.crypto」や「.nft」などのWeb3ドメインを扱ってきた同社にとっては、既定路線の延長線上にある自然な取り組みといえる。
だが、ブレイブの野望はここで終わらない。
将来的にICANN(アイキャン、インターネット割り当て番号機関)への正式登録を視野に入れることで、『.brave』を既存のDNSとブロックチェーン双方で使える可能性を探っている。そうなれば、Web3に留まらずインターネット全体を巻き込む壮大な計画に発展する。インターネットの境界線を溶解する“夢”を、一介のブラウザが本気で実現しようとしているようにも見える。
実際に使ってみたい人は、下記のリンクから“マイブレイブドメイン”を取得できる。
⇒ https://get.unstoppabledomains.com/brave
取得後は「Brave Wallet(ブレイブウォレット)」に紐づけることで、仮想通貨決済のわずらわしさを解消し、個人用のWeb3プロフィールやサイト運営にまで活用できる。操作もシンプルで、ブロックチェーンに不慣れなユーザーにも配慮された設計だ。
ブレイブが示すのは、インターネットが所有と自律性を求める方向へ進んでいるという大局的な動きだ。単なるブラウザを超えて、自分の名前を担保にした新しいオンライン体験を育む。そんな時代の扉が、いま開かれようとしている。今後の展開をねっとりと見守りたい。
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