ビットコインは11月の月足が大陰線で確定。さらに日本時間1日朝から下落の勢いが加速している。オンチェーンデータからは、市場の構造的な弱さも確認されており、今後も緊迫した展開が予想される。
クジラの蓄積停止が市場心理を圧迫
投資データ分析プラットフォーム、アルフラクタルの創業者兼CEOであるジョアン・ウェドソン氏は1日、自身のXにて「ビットコインクジラが蓄積を停止している」と指摘した。
オンチェーンデータによると、100〜1,000 BTCを保有するクジラアドレス(ファンド・企業・機関投資家層)による、明確な「蓄積停止」が確認されている。
1,000 BTC以上を保有するアドレスの多くは取引所やカストディ企業に属する。そのため、100〜1,000 BTCの層は、市場の方向性を読み解く上で重要な指標となる。
注目すべきは、現在のクジラアドレスの動きが2021年の弱気相場入り前と酷似している点だ。当時も100〜1,000 BTCのアドレスによる蓄積ペースが鈍化し、年間変動率が下落し始めてから数か月後、暗号資産(仮想通貨)市場に本格的なベアマーケットが訪れた。
ウェドソン氏は「これが売りシグナルになるとは限らない」と前置きしつつ「現在大口投資家がそれほどビットコインの蓄積に熱心ではないことを示している」と指摘した。
市場構造の崩壊──アルトコインへ資金流出が加速
機関投資家向け分析プラットフォームのビットコイン・ベクターは11月29日、公式Xにて「年内にはビットコインに完全な強さが戻らない可能性がある」との見解を投稿した。
現在市場では、ビットコインが長く維持してきた強気な市場構造が崩れ、資金が一斉にアルトコインへと流出し始めている。「もしこの状態が続くなら、年末にかけての市場はビットコイン主導ではなく、アルトコインが主役となる可能性が高まる」とビットコイン・ベクターは指摘。
特に中堅銘柄には「リスク選好の資金」、大型銘柄には「安定志向の資金」が集まりやすくなっており、資金流入のパターンが明確に変化している。
「ビットコインが再び市場のリーダーシップを取り戻すには、崩れた市場構造を再び築き直すことが絶対条件だ」とビットコイン・ベクターは締めくくった。
未決済建玉が4月以来の最低水準、流動性低下で急変リスクも
オンチェーンデータのOpen Interest(未決済建玉)が直近の最低値を更新し、今年4月以来の低水準となった。

未決済建玉の減少は、多くのトレーダーが先物ポジションを手仕舞いしていることを意味している。流動性が低下することでボラティリティも縮小し、投資対象としての魅力も低下するという悪循環に陥りやすい状況だ。
また、市場の流動性が少ない状況で大規模な資金移動が発生した場合、相場が予想外に急変する可能性もある点に注意が必要だ。
これまで底値を支えてきたクジラの撤退は、暗号資産市場にとって大きなリスク要因となり得る。加えて市場への関心低下も重なっているため、今後もさらなる下値を探る展開に警戒が必要だ。
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