マクロ経済指標とエネルギー価値モデル、異なる視点から予測
ビットコインの今後の動向について、市場サイクルとマクロ経済指標から短期的な天井が近いとする分析と、独自の価値評価モデルから長期的には依然として割安であるとする分析が、著名アナリストらによってそれぞれ示された。いずれの分析も、現時点でビットコインがまだ成長余地を残している可能性を示唆しており、市場の注目が集まっている。
9月FOMC前後が天井か?グローバルM2と半減期サイクルの相関
暗号資産(仮想通貨)アナリストの₿rett氏は7月31日、世界のマネーサプライを示す「グローバルM2」とビットコインの価格サイクルとの間に見られる相関関係を指摘した。
同氏が公開したチャートは、グローバルM2の動向を84日先行させると、ビットコイン価格の動きと非常に似たパターンを描くことを示している。このモデルに基づくと、現在の価格上昇のピークは「9月下旬に予想される」という。
さらに同氏は、このピークが2024年の半減期から518日後にあたり、過去2回のサイクルで半減期から価格の天井までが525〜532日であったことと非常に近いことを指摘し、自説を強調した。
9月下旬には、利下げが期待される米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されている。同氏は、「利下げへの期待感の中で、グローバルM2の最後の垂直的な上昇が、吹き値の天井(blow-off top)のシグナルとなる可能性はあるか?」と述べ、マクロ経済のイベントが短期的な価格のクライマックスを誘発する可能性があるとした。
エネルギー価値は過去最高13.5万ドル、それでも「信じられないほど割安」
一方で、「Capriole Investments(カプリオール・インベストメンツ)」の創設者であるチャールズ・エドワーズ氏は1日、ビットコインのマイニングに投入されるエネルギーに基づいた独自の評価モデル「エネルギー価値(Energy Value)」が、過去最高の13万5,000ドルに達したことを報告した。
エドワーズ氏のチャートでは、ビットコインの公正価値とされるエネルギー価値(オレンジ色の帯)が一貫して上昇を続ける中、実際の市場価格(白線)はその下限に沿って緩やかに推移している。同氏は、この状況から2つの重要な点が分かると指摘する。
- 市場は保守的に成長している(過熱感はない)
- ビットコインは今日においても、信じられないほど割安である
チャート下部のオシレーター(エネルギー価値からの乖離率を示す指標)も、現在が割安な領域にあることを示しており、長期的な観点からはまだ上昇の余地が大きいとの見方だ。
このように仮想通貨の価格分析には多様な手法があり、その手法によって予測にも大きな隔たりが生まれる。異なる時間軸と分析手法が示すそれぞれのサインを、市場がどのように消化していくのか、今後の動向が注目される。
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