ビットコインは27日も堅調な値動きを見せ、一時は9万2,000ドル付近まで上昇した。一旦戻り売りや利確により調整局面に入っているが、現在も9万ドル台を維持しており底堅い印象だ。そんな中、オンチェーンデータからは、短期的に大きな懸念となり得る動きや、中期的なトレンド転換のサインなどが確認されている。
バイナンスへのクジラ流入が過去1年で最大
オンチェーン分析企業のクリプトクオントは28日、公式Xにて大口投資家(クジラ)によるバイナンスへの流入急増を指摘した。
最新データによると、過去30日間でバイナンスに流入したクジラの資金は 75億ドル(約1兆1,700億円)に達し、過去1年間で最も高い水準となった。世界最大の取引量を抱えるバイナンスへの大規模流入は、市場全体への強い売り圧力を示す典型的なシグナルとされる。
また、今回の動きが2025年3月に約10万2,000ドルから7万ドル台前半まで急落した局面と酷似している点も指摘。当時もクジラが大量の資金を取引所へ移し、利益確定やリスク管理のための売却準備とみられる動きが相次いだ。
歴史的にクジラ投資家による取引所への大規模なビットコイン流入は、売り圧力の増加と相関が強く、不安定な市場心理の継続を示す重要な指標となる。現在も取引所流入量の上昇トレンドが続いているため、現時点で「弱気相場終了」と判断するには時期尚早だとクリプトクオントは呼びかけている。
直近の上昇は「トレンド転換ではなくノイズ」
マーケット分析企業のスイスブロックは27日、公式Xにて「現在の大きな価格変動に惑わされてはいけない」と警鐘を鳴らした。
27日に発生した仮想通貨市場の大きなボラティリティは、米国感謝祭による薄商いが大きな背景とした「例外的な値動き」だとし、短期トレードの好機ではあるが、トレンド転換とは無関係と分析している。依然として市場の流動性は脆弱なため、現在の動きを「シグナルではなくノイズとして扱うべき」と慎重な姿勢を示した。
50日ぶりに売り優勢から中立へ
そんな中、クリプトクオントが提供するSpot Taker CVD(累積取引量デルタ、90日間)が10月6日以来、約50日ぶりに中立状態を示した。

累積取引量デルタとは、市場買い量(テイカー買い)と市場売り量(テイカー売り)の90日間分の累積から市場の方向性を測る指標で、グリーンは買い優勢、レッドは売り優勢、グレーは中立状態を示す。
歴史的に見ると、トレンド発生後の中立状態の継続は、その後の相場転換を示唆するケースが多い。もちろん短期的には取引所への大規模流入など懸念要素はあるが、このまま中立状態を維持できれば本格的に上目線を意識する投資家が増加する可能性も考えられる。
ビットコインが続伸し、市場に安心感が広まりつつあるが、オンチェーンデータに目を向けるとまだまだ懸念材料がくすぶっている。当面は特に、取引所に蓄積されているビットコインの動きに要注意だ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.28円)




