ビットコイン中長期保有者、再び売却傾向 供給は依然高水準=Glassnode

伊藤 将史
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3~5年保有層の売却、価格下落を招くおそれ

オンチェーンデータ分析プラットフォーム「Glassnode(グラスノード)」は2日、ビットコインを3~5年間保有している中長期保有者層が、今後も市場に一定の売り圧力をもたらす可能性があると指摘した。

同社によると、ビットコインを3~5年間保有しているアドレス群(以下、3~5年保有者)が保有するビットコインの総供給量に占める割合は、2024年後半に2017年3月以来の過去最高水準を記録。同年11月9日に、過去最高となる15.7%に到達している。

その後、この3~5年保有者層は保有ビットコインの売却を開始。一度売却を停止した後、2025年4月から再び売却し始めている。その結果、記事執筆時点で、この層の供給シェアは11.9%まで減少している。

グラスノードは、「彼らの供給シェアは、過去のサイクル安値である約3%を依然として大幅に上回っており、依然として大きな売り越しの要因となっている」と分析した。

なお、グラスノードが分析に用いている「Realized Cap HODL Waves(リアライズドキャップ・ホドルウェーブ)」は、ビットコインが最後にオンチェーンで移動した時期ごとにグループ分けし、各グループが保有するビットコインの価値(実現価値)が、ビットコイン全体の実現時価総額に占める割合を示した指標だ。「実現時価総額(Realized Cap)」とは、各ビットコインが最後に取引された時点の価格で評価した時価総額のことで、市場の実際の資本流入状況をより正確に反映するとされる。「HODL Waves」は、この実現価値を保有期間別に色分けして波のように表示することで、異なる保有期間の投資家グループの行動パターンや市場への影響度を視覚的に捉えるものである。

グラスノードは、「3~5年保有者は、価格上昇局面で売却する傾向がある」と指摘。直近の売却ペースの鈍化は、この層の売りが一巡した可能性を示唆するものの、「供給量の約12%ということは、この層の多くが依然としてより高い価格を待っていることを意味する」とも解説している。

つまり、3~5年前にビットコインを取得した投資家の中には、現在の価格上昇局面で利益確定売りを行ったと推測されるグループがいる一方で、まだ売却せずにさらなる価格上昇を期待しているグループも相当数存在し、これが将来的な売り圧力として市場に影響を与える可能性があるということだ。

この層の保有するビットコインが市場に放出されるタイミングや規模は、今後のビットコイン価格の動向を左右する重要な要素の一つとなるだろう。このようなオンチェーンデータを注視し、中長期的な視点での投資戦略を検討する必要がありそうだ。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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