ビットコインは日本時間10日午前0時から急伸し、レジスタンスとして機能していた9万4,000ドルを一時上抜けした。しかし、強い戻り売り圧力により、価格の維持に失敗している状況だ。オンチェーンデータは慎重な市場心理を示唆しているが、底打ちの可能性を示す動きも見られる。
GEX中立・流動性の薄さ・材料待ちで市場に停滞感
オンチェーンアナリストのBack氏は9日、公式Xにて現在の相場状況についての詳細な分析を共有した。
Back氏は、現在の相場環境における3つの注目すべきポイントを挙げている。
1つ目は中立状態にあるGamma Exposure(GEX)。オプション市場で重要な指標となるGEXはフラットな状態。これは、マーケットメーカーが特定方向へ大きくヘッジしておらず、売りや買いの極端な偏りが存在しないことを意味する。直近は9万5,000ドル〜10万ドルのレジスタンスと、8万8,000ドルのサポート間でレンジを形成している可能性が高いとの見立てだ。
2つ目は明確なトレンドのない相場環境。4時間足・1時間足を見ても、衝動的な買いや投げ売りの兆候はなく、流動性は上下とも薄いという状況だ。
3つ目はファンダメンタルズ待ちの市場心理。日本時間11日午前4時に発表される政策金利の決定を、投資家がどのように受け止めるかが今後の展開を左右するキーポイントとなる。25bp利下げの確率は89.4%とほぼ織り込まれているが、実際の政策緩和は早くても来年3月以降になるとの見方が示されている。
以上の要因からBack氏は、FOMCまでトレンドは発生しない可能性が高いと分析しており「個々の指標による急な値動きに惑わされないように」と注意を呼び掛けている。
建玉残高は過熱状態ではなく、調整局面の節目に
投資データ分析プラットフォーム、アルフラクタルの創業者兼CEOであるジョアン・ウェドソン氏は10日、公式Xにて現在のオープンインタレスト(建玉残高)についての興味深い考察を公開した。
ウェドソン氏が着目したのは、米ドル建てとビットコイン建てにおける建玉残高の違いだ。USD建てだけを見ると「市場は過去最高レベルに過熱している」と錯覚してしまうが、ビットコイン建てを見ると現在の相場が2022年のような「レバレッジの過熱状態」ではないことが確認できる。
さらに興味深いのは、暗号資産(仮想通貨)取引所バイビットの建玉残高はむしろ減少し、6万2,000 BTC付近を下回っている点だ。この水準は歴史的に調整局面の節目となってきたとウェドソン氏は指摘する。
オンチェーンデータからは、11日のFOMCを前に慎重姿勢を保つ投資家心理が見える。方向感の薄い相場では、指標結果が値動きにどう結びつくかも予測しにくいため、FOMC直後の衝動的なトレードは控えるべき局面だ。一方で、底打ちを示唆する動きも揃いつつあるので、トレンド転換の兆候を見逃さないよう、引き続きオンチェーンデータや相場の動向を注意深く観察していこう。
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