暗号資産(仮想通貨)取引所大手のバイナンスは30日、セキュリティ上の問題の可能性があるとの情報を把握し、調査していると公式Xで発表した。同社は利用者の資金は完全に安全だとしている。日本時間7時33分には、問題が完全に解決し次第、出金を再開すると投稿した。
バイナンスは調査中、出金はセキュリティ上の問題の解決後に再開
バイナンスは日本時間6時15分の最初の投稿で、セキュリティチームが関係する情報を急いで確認しており、確かめた情報は公式のチャネルで知らせるとした。利用者には、詐欺に注意し、非公式のリンクやメッセージ、アカウント情報を求める連絡を信用しないよう呼びかけた。
投稿はその後編集され、6時29分の版で利用者の資金は完全に安全との一文が加わった。
共同創業者のイー・ハー氏も6時17分に、情報を把握して調査していると書き込み、7時22分には、環境の安全が確認されるまで出金を停止していると投稿した。
バイナンスは7時33分の投稿で、チームがセキュリティの確認を進めていると説明し、出金はセキュリティ上の問題が完全に解決し次第、再開するとした。バイナンスは、出金をいつから止めているのか、どの範囲が対象かは示していない。
バイナンスは8時6分、セキュリティ対策の一環として、Binance Alpha(バイナンス・アルファ)の取引を一時停止したとも投稿した。現物ウォレットの資金を使う購入などが対象で、問題が解決すれば取引を再開するという。
イーサリアム
ETHの取引履歴を検索できるイーサスキャンは、同チェーン上の少なくとも15のアドレスに「Binance Hot Wallet Exploiter」(バイナンスのホットウォレットの攻撃者)というラベルを付けた(7時40分時点)。
イーサスキャンの記録では、日本時間30日5時24分、同サイトが「Binance 14」と表示するバイナンスのウォレットから「Binance Hot Wallet Exploiter 2」のアドレスへ、約16.2億USDT
USDTを含む63種類のトークンが1回の取引で移った記録がある。
同じ取引では、約16.7万ETHも同じアドレスへ送られた。
バイナンスは執筆時点で、被害の有無や規模、原因を公表していない。
テザーとサークルがステーブルコインを凍結、CZ氏はハッキングの見方
テザーのパオロ・アルドイーノ最高経営責任者(CEO)は6時25分、バイナンスのハッキングの可能性に関連して、15.67億USDT超(約2,474億円)を凍結したとXに投稿した。
サークルのジェレミー・アレールCEOは6時18分、バイナンスに関わる悪用の可能性について、法執行機関と連携して8億USDC
USDC超(約1,263億円)を凍結したと明らかにした。今後も調査に協力するという。
バイナンスは8時22分、凍結額について18億ドルなど異なる数字が出回っているとしたうえで、確認済みの凍結総額は25.4億ドル(約4,011億円)だと投稿した。法執行機関や発行体などと連携して追跡を続けており、額はさらに増える可能性があるという。
バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ(CZ)氏は6時15分、「バイナンスへのハッキングのように見える」と書き込み、テザーの約9.71億ドル(約1,533億円)とサークルの約8.23億ドル(約1,300億円)の凍結に謝意を示した。CZ氏が挙げたテザーの額は、その後にアルドイーノ氏が投稿した額を下回る。
CZ氏は、自身は現在バイナンス(.com)の経営に関わっていないとしたうえで、株主として利用者の資金はすべて補償されると期待すると述べた。
凍結はテザーとサークルにとどまらない。イー・ハー氏は7時22分の投稿で、World Liberty Financial(ワールド・リバティ・フィナンシャル)が2,700万USD1
USD1(約42.6億円)と4,800万WLFI
WLFI(約200万ドル、約3.2億円)を凍結したことにも謝意を示した。
Paxos(パクソス)は7時56分、バイナンスにあったPAXG
PAXGが攻撃者とみられるアドレスへ移されたとして、1,906.67 PAXGを凍結したと投稿した。
リップル社のステーブルコイン部門シニア・バイスプレジデント、ジャック・マクドナルド氏も7時8分、リップル社が攻撃者の保有するRLUSD
RLUSDを凍結しているとXに書き込んだ。
| 日本時間30日 | 発信者 | 内容 |
|---|---|---|
| 6時15分 | CZ氏 | ハッキングのように見えると投稿、テザー・サークルの凍結に謝意 |
| 6時15分 | バイナンス | 情報を把握し調査中と投稿(その後編集) |
| 6時17分 | イー・ハー氏 | 情報を把握し調査中と投稿 |
| 6時18分 | アレール氏(サークル) | 8億USDC超を凍結と投稿 |
| 6時25分 | アルドイーノ氏(テザー) | 15.67億USDT超を凍結と投稿 |
| 6時29分 | バイナンス | 投稿を編集し、利用者の資金は完全に安全と追記 |
| 7時8分 | マクドナルド氏(リップル社) | リップル社が攻撃者のRLUSDを凍結中と投稿 |
| 7時22分 | イー・ハー氏 | 出金を停止していると投稿 |
| 7時33分 | バイナンス | 出金は問題が完全に解決し次第再開と投稿 |
| 7時56分 | パクソス | 1,906.67 PAXGを凍結と投稿 |
| 8時6分 | バイナンス | バイナンス・アルファの取引を一時停止と投稿 |
| 8時22分 | バイナンス | 確認済みの凍結総額は25.4億ドルと投稿 |
BNBは24時間で7.51%下落、国内のバイナンスジャパンは案内なし
JinaCoinの価格データによると、BNB
BNBは執筆時点(日本時間30日7時36分)で約11万559円と、24時間で7.51%下がった。ビットコイン
BTCは執筆時点(8時37分)で約1,241万6,937円で、24時間の下落率は3.24%だった。
国内では、暗号資産交換業者として登録するBinance Japan株式会社(バイナンスジャパン)が、日本居住者向けにサービスを提供している。同社のお知らせページには、7時36分時点で本件についての案内は出ていない。
金融庁は2021年6月、無登録で暗号資産交換業を行う者として、バイナンスを運営するBinance Holdings Limitedに警告書を出した。2018年3月にも「Binance」に警告書を出している(金融庁が警告した無登録業者の一覧)。
バイナンスは、確かめた情報を公式のチャネルで知らせるとしている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.91円)
※30日、バイナンスによるバイナンス・アルファの取引停止(8時6分)と凍結総額(8時22分)の発表、パクソスとリップル社の凍結、Etherscanの送金の記録、ビットコインの価格を追記しました。
